連載

デジモノ家電を読み解くキーワード:再び脚光を浴びる「太陽電池」

太陽にあてるだけで電力を得られる「太陽電池」。携帯電話へ採用されるなど、デジモノ家電分野でも大きな注目を集めている。その基本原理と最新開発動向を解説する。

有望な国産エネルギー源

photo 6月にはKDDIから太陽光発電が可能な防水ケータイが登場する

 太陽電池/ソーラーパネルの技術自体は古く、乾電池の充電器など安価な製品も20年以上前から流通しているが、化石燃料や原子力を利用した発電に比べ発電コストが高いことから、本格的には普及してこなかった。しかし、地球温暖化対策や二酸化炭素排出量抑制の観点から有利なため、国も導入費用の補助や税控除のかたちで後押しをスタート。いまや、有望な国産エネルギー源として期待を集めている。

 デジモノ家電の分野においても、太陽電池がホットな話題だ。6月には太陽電池搭載の携帯電話(シャープ製)が、auから発売される(KDDI、太陽光発電が可能な防水ケータイを6月に発売)。また、iPodなどのデバイスにも対応する「iCharge」などの充電機器も人気を集めている。エコの意識が浸透したことにくわえ、パネルの改良により発電効率が改善され短時間の充電が可能になったことが、その理由として考えられる。

現在の主流は「シリコン系」

 一般的な太陽電池は、電気的性質の異なる2種類の半導体(N型/P型)をつなぎ合わせた構造を持つ。そこに太陽光があたると+と−の電気を持った粒子(光電子)が発生し、半導体が持つ整流作用により一定方向へその光電子が移動する。それを取り出し電流を得る、ということが基本的な太陽電池の発電原理だ。

 その太陽電池は利用する素材などによってさまざまな種類が存在するが、現在はICと同じシリコン(Si)を主材料とした「シリコン系」が主流。結晶の違いなどに起因する性能差はあるが、発電コストは家庭用電力料金の約3倍、業務用電力料金の約6倍といわれ、重量や厚さにも改良の余地があるとされている。デジモノ家電に採用されている太陽電池も、そのほとんどがシリコン系だ。

 現在研究開発が進められている太陽電池は、有機化合物を主原料とする「有機系」。シリコン系に比べ、原料が安価なうえ製造工程がシンプルなため生産コストを低く抑えられ、しかも柔軟性があるなど活用範囲が広いというメリットがある。現在のところ発電効率に改良の余地ありとされるが、発電コストの大幅な削減が見込まれることから、“次世代”の太陽電池と目されている。

「次世代太陽電池」の開発競争

 太陽電池の分野で2000〜07年に出願された特許件数は、日本の企業・団体が7,970件と全体の68.4%を占める(特許庁 「平成20年度特許出願技術動向調査」より リンク先PDF)。米国の10.6%や欧州の15.3%を大きく引き離しており、日本は太陽電池開発に強みを持つと言っていい。

 しかし、それは生産量の9割を占めるとされるシリコン系太陽電池の話。次世代と目される有機系の分野では、欧米勢の特許件数が日本勢のそれを上回り、論文の件数も欧米勢のほうが多い。シリコン系太陽電池に強みを持つ現在の日本勢だが、そう安穏とはしていられないのが現状だ。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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