ITmedia NEWS >

フルデジタルNCイヤフォン ソニー「MDR-NC300D」を試すレビュー(1/2 ページ)

» 2009年06月30日 10時59分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 外部の騒音を低減するノイズキャンセル(NC)イヤフォン/ヘッドフォンという製品は、2つの方法を複合させることでその効果を実現している。ひとつはイヤーピースやイヤーカップの形状を工夫することで外音を遮断する方法、もうひとつは外音の周波数に相反する波形を電気的に作り出し、音楽ソースにのせることで相殺する方法だ。

photo 「MDR-NC300D」

 各社のNC製品は、2つの手段をどのように組み合わせ、調整するかに工夫を凝らしている。イヤーピースやイヤーカップの工夫については一巡した感もあるが、後者を他社に先駆けてデジタル化することで「99%騒音カット」を実現したのが、ソニーが2008年3月に発表したオーバーイヤー型のNCヘッドフォン「MDR-NC500D」だった。

 MDR-NC500Dについて開発陣に話を聞いた際、「NC回路のサイズは、ウォークマンやカナル型イヤフォンへ搭載するには大きすぎる」と課題を述べていたが、ウォークマンのX1000シリーズではデジタルNC回路を本体に内蔵したほか、NCイヤフォンとしても「MDR-NC300D」がデジタル化を果たして登場した。「騒音約98.4%カット」をうたう、本製品を試用した。

 形状としては「MDR-NC33」と同様、「密閉型バーティカル・イン・ザ・イヤー」方式を採用したインナーイヤータイプのイヤフォンと、ノイズキャンセリング処理を行うNCユニットを別構成としたつくりだが、MDR-NC33とは細部がかなり異なる。イヤフォンはドライバ口径がMDR-NC33の13.5ミリから16ミリへと大口径化されており、ハウジングも金属と樹脂の組み合わせになっている。

photophotophoto 金属と樹脂を組み合わせたハウジング(写真=左)、ハウジングは集音マイクが一体化している(写真=中)、MDR-NC33のハウジング(写真=右)

 NCユニットもMDR-NC33のコンパクトさを重視したデザインではなく、金属の質感を前面に押し出したもので、サイズも電源に単三形乾電池を採用した影響か、若干ながらアップしている。クリップは一体化されておらず、必要に応じて着脱する形式となっている。電池を装着した状態の重量は約53グラムで、クリップを用いて上着のエリやシャツの胸ポケットに取り付けると重さを感じる。NCユニットはパンツのポケットやカバンに入れておく方がよいだろう。

 スイッチ類は電源兼ホールドのスライドスイッチ、音量、サウンドモード切り替え、ミュート、NC効果調整「NC OPTIMIZE」が用意される。NCについては周囲環境にあわせて効果を自動的に調整する「フルオートAIノイズキャンセリング」が搭載されており、自動的に、飛行機内で感じられるような騒音の低減に効果を発揮する「MODE A」、電車やバスで感じるような騒音を低減する「MODE B」、室内での感じる空調・OA機器などの騒音を低減する「MODE C」が切り替わる。

photophotophoto NCユニット(写真=左)、NCユニット上面(写真=中)、電源は単三形乾電池1本(写真=右)

 「NC OPTIMIZE」はボタンを押すと「NCの最適化」を調整できる。これは耳穴の形状によってNCの効果が左右されてしまうカナル型を採用することによって生じる構造的な問題に対して用意された機能で、−10から+10の範囲で低音の音量/音圧などを調整し、より効果的なキャンセル効果を得ることができるという。

 ただ、NC OPTIMIZEボタンを押すとソースの音が途切れてしまうため、最適化を追い込もうとすれば、調整する(ソースが途切れる)→確認する(聞いて確認する)というステップを繰り返す必要がある。パッケージにはサイズ(径)と高さの異なる7種類のイヤーピースが同梱されているので、個人的には、まずは高い遮音効果を得られる(耳穴にあった)イヤーピースを選択し、それでもまだキャンセル効果が低いと感じたときにだけ調整すれば十分と感じた。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.