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空気が読めるロボット、バンダイ「My ドラえもん」(1/2 ページ)

» 2009年07月01日 20時00分 公開
[ITmedia]

 バンダイが9月3日に発売する「My ドラえもん」は、テレビ放映30周年を記念して開発されたコミュニケーションロボット。アニバーサリーモデルにふさわしく、先進的な技術が惜しみなく投入されている。開発を担当したバンダイ・プレイトイ事業部の知久正義氏と、マーケティング担当の亀田信司氏にくわしい話を聞いた。

photophoto My ドラえもんは、机の上など身近な場所におけるデスクトップサイズ。高さは、てんとう虫コミックスと同じ16センチ(左)。バンダイ・プレイトイ事業部の知久正義氏と亀田信司氏(右)

 My ドラえもんは、“おしゃべり”を基本としたデスクトップタイプのロボット。自ら動かせるのは頭と目だけで、二足歩行のような目立つ機能は持たない(手と四次元ポケットは可動)。「通常のロボットは、“いかに動かすか”に特化したものですが、My ドラえもんは、会話やしぐさがユーザーのメンタルにどう影響するか、という部分に注力しました。会話のときにユーザーのほうを見たり、“うんうん”とうなずく。また『目は口ほどに物を言う』といいますが、10パターンの目を首の動きやセリフと合わせて幅広い感情表現を可能にしています」(知久氏)。

 その目には、電子ブックなどに使われるペーパー液晶を玩具として初めて採用した。ペーパー液晶は、紙のような高コントラスト表示とフレキシブルさが特徴。「ドラえもんの頭部はほぼ球形のため、平面のディスプレイではどうしても“奥目”になってしまいます。頭の曲面に合わせ、できるだけ表示部を前に出して自然な目にするためにペーパー液晶が必要だったんです」。

photophoto 最終仕様のドラえもん。表面は、落ち着いた印象の半光沢処理となった。(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日

 一方の頭部は、左右に45度、上下にも少し動く。人が近づくと、ドラえもんは赤外線センサーでそれを察知して顔を向け、話しかける。「駆動系を構成する2つのサーボモーターと特殊なギアボックスは動作音が非常に静かで、顔を向ける動作や、うなずくアクションも自然になりました。その場の空気を壊さないことも、コミュニケーションロボットとしては重要なポイント」。

 このほか、My ドラえもんに搭載されたセンサー類は、全身9カ所に7種類。頭頂部には、電磁誘導タイプの近接センサーを内蔵し、ドラえもんの頭をなでるとニコニコ笑う。たたいたりすると「もうやめてよー」などと反応する。「近接センサーは、安価な赤外線タイプを使う方法もありましたが、それには頭頂部に穴を開ける必要がある。やはり、頭に穴があったらドラえもんらしくないでしょう」。さらに口の部分には音響センサー(マイク)、鈴に赤外線受光部と光センサー、首輪や鼻など3カ所に赤外線を発するLEDを搭載。おなかの部分には、時計と温度センサーを内蔵している。

 My ドラえもんは、これらのセンサーから得られた情報を総合的に判断し、“おしゃべり”のきっかけにするという。例えば、朝の時間帯に部屋のカーテンを開けると、ドラえもんはユーザーが起きたと理解して「おはよう」と声をかける。夜に部屋が明るくなれば、それはユーザーが帰宅して照明のスイッチを入れた証拠。ドラえもんは「おかえりなさい」と迎えてくれる。

 「ドラえもんには、脳神経を参考にしたニューラル・ネットワークを応用した技術を採用しています。これは、各種センサーの情報を複合的に解析し、周囲の状況を判断できるということ。例えば温度センサーの情報だけでは、単に室温25度という数字しか分かりませんが、カレンダーの情報を組み合わせることで、冬場なら『暖かい』、夏場には『涼しい』と感じるように振る舞います」。

photophoto ペーパー液晶の目は、おしゃべりの内容に合わせて10種類に変化する。ペーパー液晶は表示内容を書き替えるときだけに電気を使い、電源をオフにしても表示内容が保持されるため、ドラえもんの電源を切っても白目になることはない(リフレッシュ時には一瞬真っ黒になる)。しっぽを引っ張るとスリープする

 両手としっぽ、四次元ポケットはスイッチになっている。しっぽは、ドラえもんの設定通り(しっぽを引っ張ると機能停止)、スリープモードのオン/オフに使う。さらに四次元ポケットを開くと、あの効果音が流れ、ドラえもんが“ひみつ道具”の名前を話すギミックを搭載。

 「どこでもドアやタケコプターといった誰でも知っている秘密道具はもちろん、ファンなら思わず笑ってしまうものまで、約100種類の秘密道具が登場します」(知久氏)。

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