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“画質を極めたVIERA”こと「TH-P42V1」を試す人気の薄型テレビ3機種レビュー(3/3 ページ)

» 2009年08月10日 21時09分 公開
[野村ケンジ, 芹澤隆徳,ITmedia]
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野村ケンジの画質チェック

画質検証は、ソニーの「プレイステーション3」を用い、BDソフトを中心に行った。場所はITmedia社内の試聴スペース。明るさは一般的なリビングルームを想定して400ルクス前後に落としている。


photo 「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館(ESXL-2/6090円)」の映像

 今回試聴した3機種のうち、「TH-P42V1」は唯一のプラズマディスプレイだ。さすがというべきか、液晶ディスプレイにはない、さまざまなアドバンテージを感じさせてくれた。

 なかでも特筆したいのが、色彩の豊かさ、グラデーションの自然さだ。2009年春モデルから採用されているネオ・プラズマパネルは、動画性能の高さばかりが話題にのぼるものの、描写力もなかなかどうして。昨年のパネルと比較すると、格段の進歩を遂げている。

 例えば、BD「ヘアスプレー」でカラフルな服装を着た大勢の人たちが一斉に踊っているダンスシーン。さまざまな色が1画面に散りばめられていても、悪目立ちする色やくすみ過ぎてしまう色がなく、画面のまとまりがとても良い。特に壁にはられたカーテン(タペストリー?)の明るいグリーンは、液晶パネル2製品が妙な浅い色になってしまうなか、しっかり色ののった、違和感のない自然な風合いを再現していた。しかも中間調のグラデーションが細やかなので、セットに使われている布の素材感も確実に伝わってくる。色合いの豊かさによって生まれる絵のリアリティに関しては、相当のアドバンテージを感じ取ることができた。

 いっぽうで、暗部の描き分けやホワイトアウトのピーク表現など、ダイナミックレンジに関わる部分では、プラズマならではの弱点も見られた。「ブレードランナー」冒頭の尋問シーンでは、奥から差し込む光の絶対的な眩しさや光の当たった小道具の艶やかさが足りず、また夜の街のシーンでは、影の中までディテールが描き分けられているものの、散漫で締まりのない黒になってしまっている。またBD「アンジェラアキ My Keys 2006 in 武道館」では、全照明が点灯して館内を照らした際のまぶしさがいまひとつ。リビングを想定したやや明るい場所で視聴を行うという、プラズマにとって不利なテスト環境だったことも影響しているのだろが、昼間や蛍光灯直下で視聴することが多い人は注意が必要だ。

 動画表示性能に関しては、前評判通り、かなりの進化をみせている。昨年モデルと比較すると、横スクロールなどでまったくといっていいほどボケ感がなくなっている。素晴らしい。

 しかしながら、ボケなくなった分、速い動きに対するぎこちなさが多少目立つようになった。「マクロスフロンティア3」の戦闘シーンでは、縦横無尽に飛び回るミサイルがディティール細やかに映し出されているが、激しい動きを描ききれず、コマ飛びしてしまったかのような印象の絵になる。これはパネルの性能というよりも、映像エンジンの処理速度の問題かもしれない。

 空間の奥行き表現や、フィルムライクな映像の質感の高さなど、プラズマならではの良さがさらに進歩したモデルだけに、ピークの階調と動画表現の粗さは本当に惜しい。とはいえ、映画を存分に楽しみたい人にとって、最有力候補の1台となる上質な製品であることは断言しよう。

評価項目 評価(5点満点、右へいくほど高い)
ダイナミックレンジ ――○――
色合い/中間調の表現力 ――――○
動画表現 ―――○―
お薦めのソフト 映画全般
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