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進化したパナソニック「DMR-BW970」で楽しむBD「グラン・トリノ」のビターな味わい山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.37(2/3 ページ)

» 2009年08月19日 08時00分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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新リアルクロマプロセッサーplusの効果

 1つめが「プログレッシブ・アップサンプリング」。放送やビデオ収録された音楽ライブもののBD ROMなどのインターレース素材を、BW970ではi/p変換後にアップサンプリングするように変更したのである。この手法によってクロマ信号の垂直解像度が2倍になった状態で補間するため、よりいっそう正確なアップサンプリングが可能になる。なお、DMR-BW870以下は、従来通りインターレースの状態で処理される。

 2つめが「シュートレス・アップサンプリング」。これは、従来のマルチタップ方式アップサンプリングでオーバーシュートが目立つという意見に対処したもの。ディーガが誇る統合信号処理エンジン「ユニフィエ」内の一部をリファインすることにより、ほとんど認知できないレベルまでシュートを抑え込んだという。

photophoto ダビング機能では、「ダビング10」を生かして“HDD内ダビング”が可能になった。録画タイトルの分割や結合も行える(関連記事を参照)

 「階調ロスレスシステム」は、ディープカラーの能力を引き出せる実効精度12ビット出力を保証する新信号処理システムをいう。ユニフィエ内でデコード→i/p変換→クロマアップサンプリング→HDMIという流れを一元化し、処理途中でビットの「丸め込み」を行なうことなく、8ビット/4:2:0の入力信号を12ビット/4:4:4信号に変換してHDMIのディープカラー接続でディスプレイに引き渡そうというものだ。

 DMR-BW950でWOWOWを録画したBD-Rを再生してみたが、本機で再生した画質のほうが断然好ましかった(ディスプレイはパイオニアのKRP-500M)。まず映像の見通しがよくなり、ディティールの再現性が向上した。深い森を列車が行く「アイム・ノット・ゼア」の1シーンなど、これまで見えなかった色がふっと浮き彫りになり、これは凄いと驚かされた。プログレッシブ・アップサンプリングとシュートレス・アップサンプリングの霊験あらたかなり、という印象である。ハワイの朝焼けを描いたBS hiのインターレース素材でも、階段状に見えた偽信号のバンディングがほとんど認知できないレベルに。「階調ロスレスシステム」の効果を実感した。

photophoto DMR-BW970の外形寸法は、430(幅)×239(奥行き)×68(高さ)ミリ。HDMI出力は1系統

 高音質提案として本機に盛り込まれたのは主に2つ。「シアターモード」の新設と「真空管サウンド」の提案だ。前者は、BD ROMなどのディスク再生時にあらゆる不要な機能を停止するモード。高音質を実現するには、機械自体が発する振動は大敵。そこで、シアターモードをオンにすると、HDDの電源をオフに、ファンの回転数を落とし、チューナーも停止する。つまり、音質疎外要因となる振動やノイズの元を排除しようとモードなのである。ちなみに、このモードに入ると、あらかじめその時間に予約していた番組は録画できないことになるので注意が必要だ。

 「真空管サウンド」の提案には虚を突かれた。これは本機の音質担当エンジニアが、真空管アンプのような温かみのある音を再現したいと考えて盛り込まれた音質モードだ。

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