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ネットで画質を調整する? 「アプリキャスト」の新しいアプローチ

» 2009年08月31日 12時48分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ソニーマーケティングは8月27日、液晶テレビ“BRAVIA”のウィジェットプラットフォーム「アプリキャスト」に向け、「体験空間」の「x-アプリ」を提供すると発表した。ネットを使ってテレビの画質を調整する「x-Tuning」、および携帯電話から送られたメッセージをテレビに表示する「x-Message Board」の2種をラインアップ。いずれも半年間の期間限定で無償公開する。

photophoto 「体験空間」のx-アプリ紹介。ネットワークに接続したBRAVIA(対応機種)ならXMBのネットワーク列から導入できる

 体験空間は、ソニースタイルが運営するユーザー向けのサービス。「ユーザーと一緒に“次なるアプリを開発する”ことをコンセプトに、開発中のβ版アプリなどを提供しています。すべて無償ですが、ユーザーサポートはなし。フィードバックを新製品の開発や改善につなげるのが目的です」(ソニー、インテグレーテッドビジネス推進部、新規事業推進2課の長澤一樹マーケティングプロデューサー)。

 27日には「アプリキャスト・ロボラトリー」と題したページを立ち上げ、2つのx-アプリを紹介している。ただし、WebサイトからBRAVIAに直接インストールするわけではなく、対応するBRAVIAではXMB(クロスメディアバー)の「ネットワーク」列に「体験空間」というフォルダが現れる。ここにここで任意のアプリを導入すればいい。

ネットワークを活用して色温度調整「x-Tuning」

 x-Tuningは、BRAVIAの“色温度”を調整するx-アプリだ。「ネットワークを介して画質パラメータを変更するという、BRAVIAの“寝かせていた機能”を活用したもの。色温度は、視聴環境やユーザーによって好みが大きく変わり、画質の変化も認識しやすいパラメータ。色温度の異なる2つの画像を表示し、ユーザーが“より好ましい”と感じるほうを選択していくだけで調整できます」(ソニー、CPG商品事業戦略室ニューエクスペリエンス企画開発課のWebアプリクリエーター、渡嘉敷守氏)。

photophoto 同じ絵柄で色温度の異なる2枚の写真が表示される。白い部分を見比べ、好みの画像を選択していく

 アプリを起動すると、同じ絵柄で色温度の異なる2枚の写真が表示される。左右の絵、とくに白い部分を見比べ、これを4回(機種によっては2回)繰り返すと、結果を反映した画質パラメータをサーバ側で算出し、確認メッセージの後でBRAVIAの画質が変更されるという流れだ。対応機種は、2008年春モデル以降のBRAVIA(ZX1、F5、W5シリーズを除く)。

photophoto 確認メッセージの後、画質パラメータが変更される

 画質調整にネットワークを利用するメリットは、まず容量の大きな画像などでも容易に取得できること。テレビの高機能化が進んだとはいえ、内蔵メモリの容量はシビア。ネットワークを活用すれば、テレビ本体のコストを上げずにユーザーに新たな付加価値を提供できる。また、画質調整のデータがサーバ側に蓄積される点も重要だ。渡嘉敷氏によると、今後は、ユーザーの画質テスト結果のデータを収集し、テレビやアプリの開発にフィードバックしていくという。

 「BRAVIAではガンマ値など、ほかの画質パラメータもネットワークを介して変更することができます。ほかのパラメータと合わせ、よりインテリジェントな画質調整機能とすることも検討していきたいですね」(渡嘉敷氏)。

家族のコミュニケーションツール「x-Message Board」

 x-Message Boardは、アプリキャスト搭載のBRAVIAに対して、携帯電話からメッセージを送信できるコミュニケーションツールだ。子どものいるファミリー層が主なターゲットで、家族間の連絡や、“帰るコール”に利用できるという。

 「x-Message Boardでは、社内で行われた“アプリキャストコンテスト”で金賞を受賞した作品。お茶の間のBRAVIAを、コルクボードのような家族のコミュニケーションツールにできます」(長澤氏)。

photophoto 「x-Message Board」のデモ。メッセージは30文字以内。入力時に文字や背景の色を5色から選択できる

 使い方はカンタン。あらかじめ登録した携帯電話で専用サイトにアクセスしてメッセージを入力・送信。メッセージは30文字以内で、入力時に文字や背景の色を5色から選択できる。「パパ」「ママ」といったニックネームを付けることも可能だ。

 またユニークな機能として、メッセージに送信者の位置情報を添付できることが上げられる。BRAVIA側で開くと、Google Map APIを利用した地図が画面に表示される仕組みだ。携帯電話は、NTTドコモ、au、ソフトバンク・モバイルの3キャリアに対応。1台のBRAVIAに3台まで登録できる。

photo 位置情報の表示画面

 テレビにメッセージが届くと、x-Message Boardを立ち上げていなくても“ポップアップ通知”が知らせてくれる(2008年発売モデル以降)。もちろん、テレビの電源がオフになっているとメッセージは届かないが、電源さえ入っていれば10秒間隔でサーバを確認しにいくため、すぐに分かる仕組みだ。

 なお、現時点ではBRAVIAから返信することができず、またメッセージを送信する端末は携帯電話のみといった制約もある。「まずは家族のメッセージをリビングにいる人たちに伝えるのが目的。当初は携帯電話に絞っていますが、将来的に(PCなどに)拡張することは可能です」(長澤氏)。

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