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録画に強く、ゲームにも強い REGZA新「Zシリーズ」詳報B-CASカード2枚挿し(2/3 ページ)

» 2009年09月17日 01時58分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

LEDバックライトコントロールLSIを新開発

photo 基板の中央に見えるのが、ワンチップ化したLEDバックライトのコントロールシステム

 ZX9000シリーズでは、エリア制御機能付きLEDバックライトのコントロールシステムが新しくなった。従来は2つのLSIを組み合わせて使用していたが、自社開発の大規模LSIによってシングルチップ化を実現。機能面でも、エリアごとのバックライト点灯値に応じて調整する映像調整ゲインを従来の最大16倍から最大512倍へと拡大した。

 「映像調整ゲインの拡大により、LEDの最適発光量をさらにダイナミックに、アクティブに動かせるようになった。明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗く表示できる。きめ細かい階調性を持ちながら、コントラスト感も高い」(東芝デジタルメディアエンジニアリングで新メタブレインプロを担当する住吉肇氏)。

 表示フレームを倍の120枚/秒に増やし、エリア分割した黒挿入で残像感を減らす「Wスキャン倍速」は従来機と同じ。CCFLバックライトのZシリーズは、1フレームの間に2パターンの黒(バックライトオフ)を挿入することで毎秒240枚、LEDバックライトのZXシリーズは8パターンで毎秒960枚の異なる画面を映し出す。

トリプルチューナーにデュアルB-CASカード

photo 大胆にもB-CASカードを“2枚挿し”

 従来機と比べて最も大きく進化したのが録画機能だろう。2009年春モデルで初めてデジタル放送の2番組同時録画に対応したZシリーズだが、同時録画中はデジタル放送の裏番組を視聴できないという制約があり、そのため外出中に使う機能という意味を込めて“おでかけW録”と呼ばれていた。

 対して今回は、デジタル3波対応チューナー×2にくわえ、新たに地上デジタルチューナーを1つ追加。デジタル放送を同時に2ストリーム以上デコードできないという制限があるB-CASカードについては“2枚挿し”という力業(ちからわざ)で、裏番組視聴も可能な「地デジ見ながらW録」に進化させた。

 今回のW録は、例えばデジタルWチューナー搭載のレコーダーと地デジ専用テレビを組み合わせたような状態。制約といえば、BSデジタル同士、あるいはCS110度同士の2番組録画中には地デジもしくは録画中の局しか視聴できない程度で、従来機に比べると飛躍的に自由度が高くなっている。

 実用的になったW録に合わせてストレージも強化された。新しいZシリーズでは、市販のUSBハブを介して最大4台のUSB HDDを同時に接続できるほか、従来通りNASも8台まで接続できる。「例えば、1TバイトのHDDを4台接続すれば、地上デジタル放送を426時間も録画できる。USB外付けHDDの単価を考えれば、MPEG-4 AVC記録にするよりも手軽で画質も落ちない」(本村氏)。

photophoto 市販のUSBハブを使って外付けのHDDを4台同時接続(左)。東芝がリリースした“純正”HDD。価格はオープン(右)

 なお、東芝では今回から2.5インチHDDを使った500Gバイトの“REGZA純正USBハードディスク”「THD-50A1」をラインアップに加えている。バスパワー動作も可能で、手軽に録画機能を付加(あるいは強化)できるのが特徴だ。ただし、ハブを介して複数台を同時接続する場合は、オプションのACアダプターが必要になる点に注意したい。価格はオープンプライス。

アニメに強い「レゾリューションプラス3」

 超解像技術の「レゾリューションプラス」には、アニメ映像に対する画質の最適化処理が追加され、バージョンも“3”に上がった。技術的なポイントは、地上デジタル放送でとくに目立つモスキートノイズに対する処理だ。

photophoto アニメ映像に対する画質最適化処理の概要(左)とGUI(右)

 「デジタル放送波では、MPEG圧縮時にモスキートノイズがのってしまい、超解像処理がそれを強調してしまう恐れがあった。今回は、EPGの番組ジャンル情報やヒストグラム分布を利用してアニメ映像を検出すると、超解像処理のパラメータを変更する。ノイズと判断される部分には超解像処理を効かせず、ノイズを抑える処理を行う」(住吉氏)。処理の性格上、3Dアニメよりもセル画調のアニメーションに効果が高いという。

 また、実写映像に対しても、新たに垂直方向の「カメラ撮像ボケ」を抑える補正を加えている。従来は水平方向だけだったが、垂直方向が加わったことで、より精細で鮮明な画像になるという。

 自動画質調整機能の「おまかせドンピシャ高画質」も“3”にバージョンアップ。新たに搭載した色温度センサーにより、日中の日差しや夕日、蛍光灯照明、電球照明といった環境光の違いを判別できるようになった。これによって新たに色温度が自動調節の項目に加わり、従来からのダイナミックガンマや色の濃さ、超解像技術などと合わせて適応範囲(組み合わせ)は大きく広がっている。さらにZX9000の場合は、LEDバックライトのガンマを256段階で調節するなど、より細かい画質調整が自動的に行われる。

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