一方のツィーターは、30ミリ径テトロン素材のソフトドームタイプを採用した。ネオジウムマグネットによる強力な磁気回路と磁性流体による冷却機構を備える「本格的なHi-Fiスピーカー仕様」だ。
内蔵のデジタルアンプは、ウーファーにそれぞれ20ワット、ツィーターにもそれぞれ10ワット(いずれも最大出力)の専用アンプを設けるマルチアンプシステムとし、低域と高域の相互干渉を低減する。
低域と高域を分けるチャンネルデバイダーにはAVアンプにも使用できるDSPを用い、ウーファーとツィーターのクロスポイントでも位相が乱れない多段リニアフェイズ型とした。クロスオーバー周波数は3kHz。減衰傾度200dB/oct(デシベルオクターブ)という急峻(きゅうしゅん)なフィルターを用い、狙った周波数帯だけを増幅することで“ひずみ感”の少ない音を目指した。またタイムアライメント機能も備えており、マルチアンプシステムをより効果的に利用できるという。
エレクトロニクスの活用に関してはもう1つ、リアルタイムシーン検索エンジンとリアルタイムCM検索エンジンを利用した「コンテンツ適応音質制御」も挙げられる。既報の通り、リアルタイムCM検索エンジンは、新しいCMを検知すると、冒頭の音声的な特徴を記録しておき、約4000本もの「CM音声データバンク」を保存する。これを参照することで、CMへの切り替わりを素早く検知し、音量の自動調節やサウンドモード切り替えに利用する仕組みだ。
Cell REGZAの新しい提案として注目されるのが、マルチアンプシステムを生かした「センターSPモード」。AVアンプなどと組み合わせてマルチチャンネルシステムを構築する際、Cell REGZAのスピーカーをセンタースピーカーに利用できるというもので、マルチチャンネルシステムにしたいが、センタースピーカーの置き場所に困っている人には注目の機能だろう。
センターSPモードに切り替えると、左右4つのウーファーとセンターツイーターだけが動作する仕組み。「20ワットの専用アンプを備えたセンターツィーターとクアッド(4本)ウーファーがパワフルな動作を実現します」(桑原氏)。
ただし、組み合わせるスピーカーとの相性は気になるところ。この点を桑原氏に尋ねると、「少なくともFOSTEX製のスピーカーとはマッチしますし、ほかのユニットと組み合わせた場合もイコライザーなどで調整することができます。最近のAVアンプに搭載されている調整機能(フェーズコントロールなど)も有効でしょう」(同氏)と話していた。どんなシステムでもOKとはいえないまでも、適用範囲は広そうだ。
一方、ユーザーには「手持ちのスピーカーを使いたい」というニーズも確実に存在する。このためCell REGZAには、背面にステレオの外部スピーカー端子も用意した。古くはソニーの「プロフィール」、最近ではパイオニア「KURO」シリーズなどの例はあるものの、外部スピーカー端子を持つ機種はやはり珍しい。
「付属スピーカーを外し、背面のスピーカー端子に接続すると、内蔵アンプは20ワット+20ワットのフルレンジ信号を出します。これで、外部アンプなどを使わずに手持ちのスピーカーを生かせるでしょう」。
Cell REGZAの機能と価格を考えれば、ターゲットユーザーは明らかにコアなAVファン層だ。こうしたユーザーは、最高のものを好むと同時に、自分だけのスタイルや“こだわり”を持っているもの。そうしたニーズを捉え、幅広く対応してくるあたりがオーディオビジュアルを趣味とする開発者ならではの心づかいといえそうだ。
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