スピーカーをいくつも用意する必要がなく、ボディーは一体型で設置がスマート。それでいて、そこそこ良好なサラウンド感を堪能できる一体型フロントサラウンドシステム。設置場所の自由度の高さや、初心者やライトユーザーにも扱いやすいシンプルさで好評を博しているジャンルだが、その商品群の中で、別格の扱いを受けているのがヤマハの「YSPシリーズ」である。
一体型フロントサラウンドシステムは、手軽に設置できる一体型ボディーゆえに、各スピーカーが近い位置に寄せられており、かつユニット数も5.1ch分は用意されていないものが多い。このため、頭部伝達関数などの理論を利用してリアスピーカー成分を生成、バーチャルなサラウンド空間を生み出しているのだが、この方式だとスイートスポットが狭かったり、人によってはまったくサラウンドに感じられない場合もある。
対してヤマハのYSPシリーズは、40個もの小口径スピーカーで音をビーム状に放出し、壁の反射を活用することでサラウンドフィールドを作りあげる。つまり、一体型でありながら「リアルサラウンド」を実現できる唯一の製品として注目されているのだ。
そのヤマハYSPシリーズに、新モデルが登場した(ヤマハ、Blu-ray Discに対応したサウンドプロジェクター「YSP-4100」発表)。型番が「YSP-4100」となっていることから、トップモデルの「YSP-4000」の後継機と考えていい。しかしながら、そのスタイルを見ると、製品コンセプトは先代と少し異なっている感もある。
いちばんの違いは、その外見寸法だ。1030(幅)×212(高さ)×90(奥行き)ミリというディメンションは、先代に対して高さが14ミリプラスされたかわり、奥行きが40%も短くなっている。これは明らかに“壁掛け”設置を考慮した寸法。開発関係者の話を聞くと、90ミリという奥行きサイズは、壁掛け設置した際に薄型ディスプレイとほぼ“ツライチ”(フラット)になるようはじき出された数値だという。
機能性でも注目すべき点がいくつもある。まずHDMI端子は4ポートに倍増(YSP-4000は2ポート)。ドルビーTrueHDやDTS-HD MAのビットストリーム伝送やマルチチャンネルリニアPCM伝送に対応し、チャンネル数もこれまでの5.1chから7.1ch対応となった。つまり、HDオーディオを遜色なく楽しめるシステムへと生まれ変わった。
テレビとのリンク機能もさらに充実。HDMI CECを利用して、テレビと連動して電源オン/オフが行えるほか、音量調整や消音、音声出力の切り替えもテレビ側のリモコンで可能だ。なかでも東芝「REGZA」の最新モデル(9000シリーズのほとんど)では、「映画」「スポーツ」などシネマDSPモードをテレビからコントロールできるようになった。さらに視聴中の番組内容(EPGの番組ジャンル)によって音響設定を自動的に切り替える「おまかせサラウンド」機能も搭載、手軽に最適な高音質を楽しめるようになっている。
またシアタースピーカーとしてだけでなく、メディアセンターとしての活用も充分考慮されているのがYSP-4100の特徴だ。HDMI端子のほかにアナログ/デジタルのオーディオ接続端子を備え、シリーズ初のFMチューナーも内蔵した。さらに別売のiPod用ワイヤレストランスミッター「YIT-W10」(オープン価格)を利用することで、iPod内の音楽を「AirWired」による無線接続で楽しむことができる。AVアンプ並みの機能性が用意されているのだ。
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