インタビュー

永山昌克インタビュー連載:デジカメの画素数競争は終わった?――キヤノン「PowerShot G11」開発者に聞く (1/3)

キヤノンのコンパクトデジカメの最上位機「PowerShot G11」は、あえて従来製品よりも画素数を落とし、低ノイズの高感度画質「すっきりクリアフォト」を実現した。その狙いを開発者に聞いてみよう。

 今年後半のデジカメ市場のトピックの1つとして、キヤノン「PowerShot G11」(レビュー)が従来機よりも画素数をダウンしたことが挙げられる。「G」シリーズは同社コンパクトデジカメの最上位に位置し、これまでの製品では、ほぼ年1回のモデルチェンジのたびに画素数アップを図っていた。同社によると、コンパクトタイプのCCDとしては、常にその時代の最良のものを搭載し、コンパクトデジカメの最高画質を目指してきたという。

photo 「PowerShot G11」

 2000年発売の初代機「G1」は324万画素で、その後は「G2」と「G3」が400万画素、「G4」が500万画素、「G6」が710万画素、「G7」が1000万画素、「G9」が1210万画素、「G10」が1470万画素と続く(CCDのサイズは、G1からG7までが1/1.8型で、G9以降は1/1.7型)。ここまで約8年で約4.5倍に高画素化したことになる。

 これに対して、今年10月に発売した最新作「PowerShot G11」は、前作G10の1470万画素から低画素化し、1/1.7型の有効1000万画素CCDを採用した。その低画素化の意図など、PowerShot G11という製品の狙いを開発者に語ってもらおう。話を伺ったのは、商品企画を担当したキヤノン イメージコミュニケーション事業本部 DC事業部 中村剛志氏と、開発の製品チーフを担当した同社 イメージコミュニケーション事業本部 DCP第一開発センター 室長 久保亮司氏だ。

photo 開発の製品チーフを担当した久保氏(左)と商品企画を担当した中村氏(右)

「すっきりクリアフォト」とは何か?

――商品開発のコンセプトは?

中村氏: そもそもPowerShot Gシリーズは、画質と操作性、デザインの3つをとことん追求したハイエンドのコンパクトカメラとして、その市場を引っぱってきたシリーズだと私たちは自負しています。今回PowerShot G11として進化させるにあたって、前作の1470万画素から1000万画素へと変更したことは大きな決断でした。とにかく、いい画質の写真が撮れるカメラを作るという目標に向けて、PowerShot G11では新たに「高感度高画質」というものを提供しています。

photo 「一眼レフに遜色(そんしょく)のない高画質と優れた操作性、持つ喜びを感じるデザインを徹底追求しました」(中村氏)

久保氏: 高画質の追求は常に行っていますが、そのための技術としては「撮像素子の高精細化による高画質」というのが今までの流れでした。しかし今回の製品では、それとは違った視点として「ノイズを減らすことによる高画質」を打ち出しています。

――画素数を減らすと低ノイズになるのですか?

中村氏: 単純に計算して、CCDのサイズが同じ場合は、画素数を減らすと1画素あたりの集光面積が広がり、高感度に有利になります。ただPowerShot G11は、単に画素数を減らしただけではありません。かつての製品G7の1000万画素CCDとも当然異なります。集光面積だけに特化したわけでなく、最新技術によってノイズの発生を抑えるCCDを採用しています。

photo 「高感度と低ノイズの実現は、暗所に限らず、さまざまなシーンでの撮影の幅を広げることができます」(久保氏)

 さらに、それでも生じるノイズに対しては、映像エンジン「DiGiC 4」のノイズリダクション技術によって低減しています。つまり、ノイズの発生自体を抑える高感度センサー技術と、発生したノイズを低減する画像処理技術の2つがセットになっていることがポイントなのです。この組み合わせを「デュアルクリアシステム」と名付け、それによって得られる低ノイズで高画質の写真を「すっきりクリアフォト」として訴求しています。

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