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CELL、LED、そしてBD 復活ののろしを上げた東芝のテレビ戦略2010 International CES(1/2 ページ)

» 2010年01月07日 17時36分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
photo 東芝デジタルメディアネットワーク社の大角正明社長

 東芝デジタルメディアネットワーク社は米国時間の1月6日、「2010 International CES」開幕に先立って日本人プレス向けカンファレンスを開催した。ここでは、国内外のBlu-ray Disc製品ならびに液晶テレビ「REGZA」に関する戦略発表が行われた。

 同社がHD DVD事業からの撤退を発表してから2年(→HD DVD、3つの敗因)。HD DVDのライバルだったBlu-ray Disc(以下、BD)関連の製品は、すでに競合他社から多くリリースされており、東芝はメーカーとして最後発となる。

 東芝にとって、撤退を発表してからのAV家電分野でのビジネスは非常に厳しいものだったという。主力製品のREGZAがいくら売れようとも、BDプレーヤー/レコーダーなどに代表されるテレビの周辺装置で訴求できるラインアップがなかったからだ。東芝デジタルメディアネットワーク社の大角正明社長は、「事実上の販売機会の損失だった」と振り返る。その上で、2010年以降は「テレビ+BDで、“あるべき姿”を目指していく」と意気込みを語った。

 国内における同社のBD製品第一弾となったのは、2009年後半に登場したBDドライブ搭載ノートPCの「Qosmio」だが、同社はBD搭載製品をさらに拡大。2010年秋までにはハイビジョンレコーダー「VARDIA」シリーズにBDドライブ搭載モデルを加え、さらにBDプレーヤーも組み合わせて、REGZAを中心とするBD製品ラインアップを一気に拡充する方針。また「現時点では具体的な内容は説明できない」ものの、REGZAそのものにBD機能を組み込むことも検討中だという。

 また、社内的にはBD体制強化に向け、BDとREGZAの開発拠点を埼玉の深谷工場に集結させる。両開発部門を1カ所に集約することで、開発の効率アップとともに、両者がより連携した訴求力の高い製品を作るのが狙いだ。

LEDを全画面サイズに展開、CELL REGZAの技術をミッドレンジ以下にも

photo 東芝では、LEDの普及が急加速するとみている。それを上回るスピードで商品展開していくのが差別化のポイントという

 次なる課題はLEDだ。日本メーカーの出遅れがたびたび新聞紙上で取り上げられているが、LEDバックライト搭載テレビの高機能化と高品質化で、シェア拡大を目指すのが東芝の目標。

 日本国内における液晶テレビのLEDバックライト構成比は現在1%未満と従来型のCCFL(冷陰極蛍光ランプ)と大きな開きがある。しかし、同社の予測によれば、これが2010年中に30%まで上昇し、2011年には50%、2012年には66%とCCFLを逆転するという。大角氏は、この急速な市場シフトに対応するため、「東芝は、これを上回る速度でLED化を促進する」と意気込みを語った。

 液晶テレビのLED化については、高コストになってしまうデメリットがある反面、精密なバックライトコントロールによる高画質化や薄型化、そして低消費電力などメリットも多い。東芝が高画質化の訴求力として挙げているのが昨年末に発表された「CELL REGZA」に採用された「メガLEDパネル」。512ブロックに分割された4608個のLEDにローカルディミングを組み合わせ、ピーク輝度で1250カンデラ、ダイナミックコントラストで500万:1を実現している。

photophoto メガLEDパネルの技術。LEDバックライトを512ブロックに分けて輝度を制御する
photophoto メガLEDパネルの駆動デモ。前面の液晶パネルを取り除くと、映像によって部分的にLEDが発光している様子がよく分かる

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