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「カメラにお任せ」が進化、超解像ズームも面白い 「HDC-TM70」フルHDビデオカメラ新時代(5)(1/2 ページ)

» 2010年03月02日 12時52分 公開
[都築航一,ITmedia]
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 パナソニックからは同社お得意の3MOSではなく、撮像素子を1つだけ搭載した普及クラスの新製品「HDC-TM70」を取り上げる。このHDC-TM70は同社が世界最大容量とうたう、96Gバイトもの容量をもつ内蔵メモリと、SDXC/SDHCカードにフルHDのAVCHD映像を記録するビデオカメラだ。

 バリエーションモデルとして記録メディアとボディーカラーの異なる「HDC-TM60」「HDC-HS60」も販売されているほか、少し遅れて3MOS方式の最上位機「HDC-TM700」も発表され、同社はこの4製品を今春モデルとして展開している。

photo 「HDC-TM70」

広角にも強い光学25倍ズームレンズが幅広い表現を可能に

 HDC-TM70は撮像素子として1/4型332万画素のMOSを採用。ワイド端の焦点距離が35ミリ換算で35.7ミリ相当という比較的広角側に強いレンズは、光学25倍というズーム倍率の高さも特徴で、これまでは広い範囲を写すのが難しかった室内撮影から、実に893ミリ相当という超望遠の世界まで、幅広いシーンで思い通りのショットを撮れる。

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photophoto 凹凸の少ないボディラインが特徴的

 映像処理エンジンは、新開発の「HDクリスタルエンジン・プロ」となり、超解像技術や暗部ノイズ低減といった機能強化が図られた。中でも前者は、デジタルズームでありながら画質の劣化を抑えた撮影が可能な「iAズーム」に利用され、光学ズームの25倍を超えて、35倍相当までという超・超望遠域をフルHDらしい精細さのままで楽しめる。

 実際にいくつかのシーンで試したところ、もちろんキレのよさという点で光学ズーム域にはかなわないが、ジャギーなどがほとんど見られない非常に滑らかな描写で、しかも光学ズーム域へとズームアウトしていっても、まったく違和感なくつながるのには目を見張るものがある。iAズーム域に入っているかどうかは画面で確認できるが、特に気にせず使っても問題ないだろう。

photo 最高画質(HAモード)/おまかせiAオン/手ブレ補正:アクティブで撮影した映像からのスクリーンショット。何より光学25倍という圧倒的なズーム倍率が魅力で、遠くの被写体も大きく捉えることができる。望遠側の手ブレ補正も自然だ
photophotophoto 左からiAズーム利用時、光学望遠端付近、ズーム中位機と「iAズーム」の画質と使い勝手を試した。光学ズームのテレ端である893ミリ相当から、さらにもう一歩被写体を引き寄せることができる。ここではiAズームのテレ端から光学ズームの中域までゆっくりズームアウトしているのだが、どこまでがデジタルズーム域なのかわからないほど滑らかにつながっており、キレも十分に感じられる

 一方、これだけの望遠域で手持ちのまま撮影するとなると、強力な手ブレ補正が不可欠になってくるが、iAズーム域でも有効な光学手ブレ補正機構と「アクティブモード」の組み合わせにより、カメラの構え方などを工夫すれば、三脚を用意しなくてもなんとか「使える」映像を撮ることができた。

photo 最高画質(HAモード)/おまかせiAオン/手ブレ補正:アクティブで撮影した映像からのスクリーンショット。手持ち+歩きながらでの撮影だが、手ブレ補正の利き具合は良好で、振る舞いも自然だ

他社に先駆けて搭載のシーン自動認識に高度な顔認識を追加

photo 「おまかせiA」ボタンは本体側面に用意されている

 パナソニック製品は、今春モデルで各社が相次いで搭載してきたシーン自動認識の機能を以前から実装しており、HDC-TM70でももちろん利用可能だ。「おまかせiA」ボタンを押すと、ノーマル、顔、風景、スポットライト、ローライトの5つのシーンを判別して、カメラの設定を最適なものに自動調整する。人の顔だけでなくペットや人工物などでも有効な「追っかけフォーカス」は、タッチパネルで直感的に操作できるなど、高度なおまかせ機能を手軽に利用できる工夫も従来どおりだ。

 さらにHDC-TM70では、自分の子供など特定の人物の顔をあらかじめカメラに登録しておくことで、優先的にフォーカスを合わせ続ける「個人認識」や、笑顔になった瞬間に静止画を同時記録する機能が加わった。後者はライバルが先んじて実現していたものだが、前者は目や鼻、口などの画像情報をもとに個人を識別するという高度な機能だ。6人まで名前をつけて保存でき、登録した人が画面内に現れると、名前つきで優先枠が表示される。

 もちろんこれらの認識情報は再生時にもインデックス情報として利用可能だから、大勢の中で自分の子供だけを抜き出して再生といったことまで自動でできてしまう。ビデオカメラがパーソナルな性格を持ち始め、「だれでも使いやすい」から「自分にとってさらに使いやすい」へと進化していることを実感する。

photo 最高画質(HAモード)/おまかせiAオン/手ブレ補正:アクティブで撮影した映像からのスクリーンショット。顔認識機能も安定しており、ピントを合わせやすい被写体が手前に写りこんでも、ちゃんと顔を認識しつづけることができた
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