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HDMIの「1.3a」と「1.3b」、ここが違うデジモノ家電を読み解くキーワード

» 2010年03月11日 18時45分 公開
[海上忍,ITmedia]

 現在製品化されているHDMIのバージョンは「1.3a」。しかし、よく調べると「1.3b」や「1.3b1」などというバージョンも……いつの間に改訂された? と誤解されがちなため、今回はHDMIのテスト仕様について解説してみたい。

歌は世につれ……AV機器はHDMIにつれ

 HDMIを単なるデジタル仕様のAVケーブルと考えてはいけない。ライセンスの供給と規格策定を担う業界団体「HDMI Licensing」により、薄型テレビなどAV機器の進化の方向性を踏まえつつ規格が見直され、その新しい規格に沿った形でAV機器の新製品が市場に投入される。

 2002年に最初の仕様(1.0)が公開されたHDMIは、2004年公開の1.1でドルビーデジタル/DTS音声に対応、2005年公開の1.2で機器間の制御機能(リンク)を実装、そして2006年公開の1.3ではドルビーTrue HDやDTS HDに対応、と版を重ねるごとに機能が強化されている。1.3の仕様変更版に位置付けられる1.3aでは、それまでの165MHz(4.95Gbps)から340MHz(10.2Gbps)へと帯域が大幅に拡大、1440pというフルHD水準の解像度に対応したほか、色深度も30/36/48ビットが新たにサポートされるなど拡張が加えられている。

HDMIのテスト仕様とは

 ところで、HDMI 1.3には「1.3a」や「1.3b」「1.3c」などいくつかの種類がある。HDMIのバージョンとマイナーリビジョンは混同されやすいため、この違いについて説明しておこう。

 HDMIの仕様(HDMI Specification)は米HDMI Licensingにより規格化され、最新版は「1.3a」だ。しかし、HDMI 1.3a準拠をうたうすべての機器がHDMI 1.3aで定義された全機能を網羅するわけではなく、実際にはいくつかの機能がオプションとなっている。

 そしてHDMI Licensingでは、「CTS」と呼ばれるテスト仕様を設けている。CTSは「Compliance Test Specification」の略で、HDMIのライセンスを受けるに際しての審査基準であり、不定期に改訂されるため、「1.3b」や「1.3b1」などのバージョンが発生するのだ。

 つまり、「HDMI 1.3a準拠」と「HDMI 1.3b準拠」のケーブルは規格は同じだが、サポートされるオプションが異なる可能性がある。HDMI Licensingはこれに鑑み、バージョン表記とは別に対応する機能や特徴を明確に伝えるようメーカーに求めている。

まもなく登場する「1.4a」

 先日HDMI Specificationの次バージョンは、改訂を受けた「1.4a」として一部仕様が一般公開された。内容は3D規格に関する部分に限定されるが、「サイドバイサイド」と「トップアンドボトム」の2方式を放送用の必須(マンダトリ)サポートと定めるなどの詳細が判明している。3D対応のデジモノ家電が発売された暁には、われわれ消費者はまず「1.4a準拠」かどうかを確認し、そのうえでサポートされるオプション機能をチェックする、という手続きを踏む必要があるだろう。

(編集部注:初出時にHDMI 1.4a対応機器の発売時期について事実誤認がありましたので記事を一部修正しました。2010年3月29日)

HDMI 1.4の3Dに関するマンダトリフォーマット

コンテンツ 方式 解像度/フレームレート
映画 フレームパッキング 1080p(23.98/24Hz)
ゲーム フレームパッキング 720p(50または59.94/60Hz)
放送 サイドバイサイド
トップアンドボトム
1080i(50または59.94/60Hz)
1080p(23.98/24Hz)、720p(50または59.94/60Hz)

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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