今回取り上げる「DMR-BW880」は、パナソニックの2010年春モデルでは3D対応機を除くと最上位に位置するモデルだ。従来は900番台が最上位モデルだったが、3D搭載モデルの「DMR-BWT」シリーズが投入されたため、フラッグシップの座はこちらに譲ったことになる(→パナソニック、3Dテレビを発表)。なにやら格落ちしてしまった感もあるが、3D対応コンテンツはBDビデオ、放送ともにこれからであり、何よりテレビ側の対応も必要だ。現実的な選択肢として、DMR-BWシリーズの購入を検討する人も多いだろう。
下位機種となる「DMR-BW780/680」とは、内蔵HDDの容量が異なる以外の違いは少ない。奥行199ミリと、ついに20センチを割り込んだコンパクトな本体サイズは共通で、DMR-BW880の約3.1キログラムに対して下位に行くほど0.1キログラムずつ減っていく程度だ。また、フロントパネルのアクセントが少しずつ異なる。
仕様上の相違点は、DMR-BW880だけ光デジタルと同軸デジタルの両方を搭載しているのに対し、他の2機種は光のみ。また、TS入出力対応のi.Link端子とUSB端子がDMR-BW880だけは前後にあり(ただし、i.Linkは同時使用不可)、ほかは前だけという程度。従来900番台で搭載されていた画質や音質にこだったプレミアム仕様は、3D対応の最上位機種「DMR-BWT3000」に譲ったため、型番の上でも実質的にも「DMR-BW870」の後継機種ということになる。
なお、オプションの無線LANアダプター「DY-WL10」もDMR-BW880のみが対応している。導入が容易なので、手軽に無線LANでの接続を行いたい人には魅力的だろう。
機能の強化点は多岐にわたる。先陣はシャープに譲ってしまったが、待望の2番組同時AVC録画に対応し、10倍長時間録画モードも追加された(DRモードでBSデジタル放送を1時間録画した場合と同じ容量で10時間の録画が可能)。また、録画番組をmicroSDメモリーカードなどに転送し、携帯電話などで視聴できる「おでかけ転送」や、DLNAサーバ機能も強化された。順を追って見ていこう。
おそらく、多くの人が期待していたであろう新機能が、2番組同時のAVC録画だ。これまでは、デジタル放送を2番組同時録画する場合、常に片方がDRモードという制限があったが、今回はその制約が撤廃された。HDDの大容量化が進む現在では、より長く録画できるという点より、予約録画が重なった場合にどちらをDRモードにするかを考えなくて済む、というメリットの方が大きいだろう。スポーツ中継の延長などにより、目的の番組の放送時間が変更される可能性があるときも、3番組以上が重ならないように配慮するだけでいい。
また、AVC録画でBDやDVDメディアに番組を残している場合なら、今までより多くの番組を高速ダビングで済ませることが可能になる。見方を変えると、ようやくアナログチューナー世代のレコーダーの使い勝手に回帰したともいえる。
なお、アナログ放送の録画時は2番組同時録画はできず、外部入力の録画時はもう片方はDRモードのみとなる。これは従来からの制限のままだ。
同時に採用されたのがフルハイビジョン解像度で10倍の長時間録画になる「HB」モードだ。平均ビットレートは約2.5Mbpsとなり、1層のBDメディアに約21時間40分、1層のDVDメディアに約4時間のダビングが可能。SD解像度の録画モード「LP」に準じるビットレートだ。
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