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主役は“3D”? 「ケーブルテレビショー2010」が開幕

» 2010年06月24日 21時04分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 池袋サンシャインシティで6月24日、CATV関連の総合展示会「ケーブルテレビショー2010」が開幕した。展示会場では、3D関連の展示が多く見られたほか、HDDやBlu-ray Discドライブを搭載した高機能STB(セットトップボックス)にも注目が集まっている。

 VoDサービス「JCOMオンデマンド」で3Dコンテンツを配信しているJ:COMは、「ムービープラス」や「LaLa TV」「ゴルフネットワーク」といった専門チャンネルの3Dプロモーション映像を公開中。3つのブースを設け、それぞれにパナソニックの3D対応“VIERA”を設置して来場者が自由に視聴できる。同社によると、映像は既存の3Dコンテンツに加え、新たに3Dカメラを使ってスタジオ撮影した部分も含まれるという。

photophoto J:COMブースでは3台の3D VIERAで専門チャンネルをPR。一部映像はスタジオで3D撮影したもの

 パナソニックやソニーは3Dテレビを展示。パナソニックでは、会場内に3Dビデオカメラを設置し、撮影した映像をサイド・バイ・サイドで配信してリアルタイム表示するデモンストレーションも行っている。一方、NHKメディアテクノロジーは、円偏光を用いた3D液晶テレビ(開発中)にくわえ、国内初となる「3D中継車」を紹介していた。3D中継車は、3台の3Dカメラ、3D収録用のVTRなどを常載。スイッチャーパネルを2台利用して、2D/3Dのサイマル運用も可能だという。

photophoto ソニーブースには3D BRAVIAの体験コーナーも(左)。NHKメディアテクノロジーが開発中の3Dテレビは円偏光方式を採用(右)

 パイオニアブースでは、米pllx3(パララックス)が開発した「3D TVコンバーター」技術を参考展示していた。この技術は、普通の薄型テレビを後付けで3Dテレビに変えるというもの。社名から想像できるように、利用するのはパララックスバリア(視差バリア)。独自の“視差バリアフィルム”をテレビ画面に貼り、専用の外付けユニットでコンテンツを変換すれば、裸眼立体視が可能になるという。変換ユニットは、STBやBlu-ray Discプレーヤーに内蔵することも想定している。また、既存の2Dゲームソフト(3D CGのもの)をリアルタイムに3D化する「3Dゲーム・コンバーター」も展示していた。

photophoto 米pllx3(パララックス)の裸眼立体視システム。手持ちの薄型テレビに視差バリアフィルムをはりつける

パイオニアがBDレコーダーベースのSTBを製品化

 パイオニアブースでは、今秋登場予定のBD搭載STB「BD-V8700R」を参考展示。500GバイトのHDDと2系統のMPEG-4 AVCトランスコーダーを内蔵し、2番組同時に最長8.5倍の長時間録画が行える。また、2番組同時録画中でも高速ダビングが行えたり、録画モード変換中でも放送番組を視聴できるなど、優れたマルチタスク性を備えた。

photo パイオニアのBDレコーダーSTB「BD-V8700R」

 BDレコーダーから撤退して久しい同社だけに、BD搭載STBの登場には意外な印象を受けるかもしれないが、仕様やGUIの一部を見ると、それがシャープ製BDレコーダーの特長であると分かる。ベースになったのはシャープの現行モデルで、スカパー!HD録画や長時間録画モードの一部を省略した一方、DLNAやi.LINK(TS)といった機能は利用できる見込みだ。一方、設定画面や電子番組表などについては既存の同社製STBと共通のスタイルで、ユーザーは違和感なく移行できるという。

photophoto NAS一体型のSTBとSSD搭載モデルの試作機

 このほか、NAS一体型のSTBや、NASのストレージ部分をSSDにした試作機なども参考出品していた。単なるHDD内蔵型ではなく、あえてNAS一体型にしているのは、増設の容易さとメンテナンス性を考慮した結果だ。「現行の標準STBがネットワーク経由の録画をサポートしている。NAS一体型を追加した場合、仮にSTB部分が故障して修理に出しても、録画した番組(NAS)を残しておけば標準STBで視聴できる。逆にNASが故障した場合でも、STB部分があればリアルタイムの放送は視聴できる」(同社)。

 ただし、出荷時期などの詳細は未定。「展示会に出品し、まず業界関係者やCATVユーザーの意見を聞きたい」(同社)という段階のようだ。

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