4原色だから感じるもの、AQUOSクアトロン「LX3」野村ケンジが徹底チェック(1/2 ページ)

2010年の夏、3Dと並んでエポックメイキングな技術が登場した。液晶テレビ「AQUOS」10年間の集大成ともいえる4原色表示技術「クアトロン」だ。従来の液晶テレビとは一線を画す画質を検証する。

» 2010年07月07日 00時00分 公開
[野村ケンジ,PR/ITmedia]
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 2010年の夏、AV製品で最大の話題といえば、やはり「3D」になるだろう。新しい映像表現が持つ可能性は、多くのAVファンの注目を集め、今後の拡がりも大いに期待が持てる。しかしながら、3D対応と並ぶ、いやそれ以上にエポックメイキングなテクノロジーがこの夏に登場した。それがシャープの4原色表示技術「クアトロン」である。

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 一般的な液晶テレビがRGB(レッド、グリーン、ブルー)の3原色の合成で構成されているのに対し、クアトロンは、RGBにY(イエロー)を加えた4原色表示を行うことで、従来の液晶テレビとは一線を隠す画質と省エネ性能を実現する。AQUOS誕生から10年を数える今年、その集大成ともいえる技術が、満を持して投入されたといえるだろう。そこで今回は、3Dモデルに先立ち、7月に発売される2Dモデル「LX3」ラインを通じて、その最新テクノロジーがもたらしたアドバンテージを検証していこう。

クアトロンがもたらした格別の色表現

 LX3ラインは、3D対応のトップモデル「LV3」ラインに次ぐ2Dのハイグレードモデル。画面サイズは、60V、52V、46V、40V型の4タイプと大型モデルが中心で、UV2A技術とLEDバックライトを初めて採用した「LX1」ラインのハイスペックバージョンといえる位置づけだ。

photo LX3ラインの画面サイズは、60V、52V、46V、40V型の4タイプ

 4原色表示のアドバンテージは、実際の映像を見ればすぐに分かる。今回の取材では、60V型「LC-60LX3」の最終サンプル品で映像を確認したが、映し出される映像の“質感”がまるで違った。例えばアルトサックスの映像では、金管楽器ならではのつややかさと輝きが見事に感じられたし、ひまわり畑の映像では、ピュアな光彩を放つ黄色の花びらと、澄んだ青空によって、空気感や奥行き感が見事に再現されていた。まるで、16:9の窓枠から風景を見てるかのような錯覚をおぼえる。従来の3原色、いやこれまでの液晶テレビと言い換えても過言ではないが、それらとは別次元のピュアで深みのある色合いだ。

photophoto 3原色(左)と4原色(右)の見え方の違い。4原色では、金管楽器ならではのつやと輝きがあり、その質感が大きく異なる
photophoto 4原色(右)では、黄色の花びら1枚1枚に立体感が出てくる。

 複雑な彩色があしらわれたガラスつぼの映像では、まばゆく上品な金粉の輝き、そして緻密(ちみつ)なグラデーションを持つつぼの素材感により、まるで実物を手に取ったかのようにリアルに感じられた。また珊瑚礁を望む海辺のシーンでは、美しいエメラルドブルーの海の濃淡がしっかりと描かれ、その深さはもちろん、海底の様子までリアルに伝わってくる。なによりも、南の海ならではの美しい色合いが、ここまで見事に再現されていることが素晴らしい。図らずも、しばらく見とれてしまった。

 一方、同じ映像を従来の3原色液晶テレビで見ると、全体的に色合いが浅く、色ノリが悪くなったような印象になってしまう。楽器からは金属の輝きがうせ、メッキ塗装がマット塗装にでもなったかのよう。ひまわり畑の空の色も濁った印象になり、空間的な奥行きは感じ取れない。4原色と従来の3原色では、色合いのピュアさやグラデーション表現に大きな差があった。

クアトロンを実現した技術力

 では、なぜクアトロンはイエローを加えたのか。その理由を尋ねてみると、物体色のカラー分布をチェックした結果、イエローがよく使われているため追加するのに適切だったことと、イエローフィルターは光の利用効率が高く、省エネにも貢献してくれることが、大きな選択ポイントになったという(技術的な詳細は、本田雅一氏執筆の別記事を参照してほしい)。

photo 従来型RGBパネルとUV2A技術と4原色技術を導入したパネルの違い。見た目にも明るくなったことが分かる

 確かに、イエローを追加したことの的確さは映像を一目見れば分かる。イエロー系本来の発色の良さがきちんと感じられるし、金メッキやクロームメッキが持つ写り込みの陰影も不足なく再現されている。さらに、イエローを追加することでブルー系のピュアさがより際だったことも特筆しておきたい。これは、イエローを追加することでグリーンをシアン寄りにシフトできたことから生まれたメリットだという。1色を追加するだけで、全体的に色表現がリッチになったことには素直に感心させられるし、チューニングの確かさは、シャープが10年間にわたって培ってきたノウハウの表れといえるだろう(シャープのクアトロンQ&A色彩工学入門)。

 もう1つ、4原色化による恩恵として「フルハイプラス」が挙げられる。これは、3原色パネルのサブピクセル数が約622万なのに対し、4原色パネルは約1.3倍(892万)に増えたことを活用する技術だ。映像入力信号の輝度成分にスムージングをかけ、これを用いてサブピクセル値を最適化することで、より滑らかな斜め線を表現できる。実際、フルハイビジョンの映像がさらに滑らかに表現されると、色再現性の向上と合わせて映し出されたものは質感が良く分かるようになる。それは、今までは当たり前に見ていた映像が陳腐化してしまうような体験。これに慣れたらもう引き返せないと感じた。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2010年7月20日