改めて浴室のドアを眺めると、半透明の“いかにも安そうな樹脂製”である。素材の正確な種類は分からないが、その薄さと安っぽい作りから、指で押すと“たわむ”くらいの柔軟性があり、振動板には適しているように見える(ドアとしての素養は別にして)。樹脂製パネルはアルミフレームによって上下に分かれていたので、下側のパネルを選び、中央にアクチュエーターユニットを“ぺたり”とはる。下側を選んだのは、万が一両面テープがはがれて落下したとき、ユニットが受ける衝撃を考慮したからだ。
湯船に入浴剤を入れ、パッケージに付属していたリモコン(防水仕様)を持って入浴(検証)スタート。しかし、湯船に入ってから気付く。リモコンのボタンはボリュームの上下だけで、ソース機器を操作する機能はない。アナログピンジャック接続なので当然といえば当然である。このため一度浴室から出て、iPhoneでお気に入りプレイリストを選択、再生を開始してから浴室に戻った。
さて、実際にドアから流れ出した音はというと、これが意外と悪くない。高音から低音までしっかり出ているし、浴室内の反響も手伝い、とくに女性ボーカルが心地良く聞こえる。
今までに何度か防水仕様のAV機器を浴室に持ち込んだことがあるが、どうしても音が“こもった”印象はぬぐえなかった。しかし、ドア自体を振動板にするJF-SPBR1の場合はそれがほとんどない。防水の仕組みなどにジャマされず、しっかりと空気をふるわせている印象だ。もちろん、振動板によって音は大きく変わるので一概には言えないが、とりあえず1993年製TOTOユニットバス(集合住宅向け、たぶん安価)の扉とは非常に相性が良かった。
もう1つ気がついたのは、脱衣所にいても浴室と同じ程度の音量と音質で音楽が聴けることだ。スピーカーは本来、振動板の前後両方に向けて音が出るもの。オーディオ用のスピーカーは、それを前方に回す工夫が施されているわけだが、JF-SPBR1を使った場合は振動板が完全に露出しているため、前後どちらでも同程度の音が聞ける。これ1台で浴室と脱衣所をまかなえるのはありがたい。
欲をいえば、付属のリモコンでiPod/iPhoneあたりの操作が行えるようになるとうれしい。ただ、プレイリストを用意しておけばBGMとして問題なく利用できるため、機能を増やして高価になるより、現状のほうがバランスは良いかもしれない。店頭では5000円を切る程度で販売されているため(オープンプライス)、お風呂で手軽に音楽を聴きたい人にはオススメの商品といえる。
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