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初の3LCD Reflective機、エプソン「EH-R4000」が魅せた美しいスキントーン山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.52(1/2 ページ)

» 2010年10月25日 17時44分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 アナログ放送の完全停波を来年夏に控え、今年度の売上げ予測がついに2000万台を越え、2200万台という数字が出始めたわが国の薄型テレビ市場。ブラウン管テレビ時代から日本のテレビの需要は年間800〜900万台などと言われてきたが、今年度は日本の全世帯数のほぼ半分近くがテレビを新規購入するというわけで、これはちょっと恐ろしくなるくらい巨大な数字だ。

 一方で、大画面スクリーンに映像を映し出す家庭用プロジェクターは、わが国では2006年あたりからどんどん市場が縮退し、いちばん売れていた時期の半分以下の売上げ台数にまで落ちてしまっている。BD ROMという史上最高画質を誇るパッケージソフトが出現した時期から売上げが激減しているわけで、これはちょっと不思議な現象といわざるをえない。ぼくのこれまでの経験でいうと、BDの映画ソフトをよくできたプロジェクターで完全暗室の100インチ級スクリーンに投写して、感激の声を上げなかった人は1人もいないからだ。単価が下がってAV専門店がさほど熱心に売ろうとしなくなったことに加え、大画面薄型テレビが爆発的に売れるので、量販店は売りに手間がかかるプロジェクターまで手が回らないなどという理由が挙げられるのだろうが、それにしても……である。

photo エプソン「EH-R4000」は11月下旬発売予定。価格はオープンプライスで、店頭では65万円前後になる見込みだ

 そんな状況下、昨年パナソニックとサンヨーの2社が、わが国のプロジェクター市場から撤退した。しかし一方で、そんなシビアな状況下でも不断の努力を続けて毎年着実な画質向上を果たしているプロジェクターメーカーもある。今回は、この秋の新製品をチェックして、その画質向上ぶりに大きな感銘を受けたエプソン「EH-R4000」をまず取り上げてみたい。

 EH-R4000は、世界で初めて高温ポリシリコンTFT(薄膜トランジスタ)の反射型液晶パネルを用いた3LCD Reflectiveプロジェクターである。とにかくそのつややかな漆黒の表現がすごい。ビクターのD-ILA(Direct-Drive Image Light Amplifier)やソニーのSXRD(Silicon X-tal Reflective Display)などのLCOS(Liquid Crystal on Silicon)タイプのプロジェクターに勝るとも劣らない強靱(きょうじん)なコントラスト表現を獲得したことは間違いないだろう。

3LCD Reflectiveの構造イメージ図

 エプソンは、2006年に電圧をかけない状態で黒を表示する(光を遮断する)無機配向膜を採用したD6パネルの「EMP-TW1000」でコントラスト比1万2000:1を、2007年に独自の光学位相補償回路「ディープブラックテクノロジー」を加えたD7パネルの「EMP-TW2000」で5万:1を実現した。その後、2008年の「EH-TW4000」、2009年の「EH-TW4500」と細部のチューニングを重ねて透過型プロジェクターの画質を磨いてきたわけだが、この秋ついに高温ポリシリコンTFT液晶パネルを反射型へと進化させ、本機EH-R4000で100万:1のメガコントラスト(オートアイリスを使わないネイティブ・コントラストは4万:1)を達成したのである。

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