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「Apple TV」、日本の茶の間にもたらすインパクト海上忍のデジモノ家電を読み解くキーワード

» 2010年11月25日 12時15分 公開
[海上忍,ITmedia]

Appleが提唱する「映画」の楽しみ方

 Appleが11月に発売した「Apple TV」は、HDMI端子1基を備えた家庭向けセットトップボックス。モデルとしては2代目となるが、ファームウェアの変更やボディの小型化、内蔵ストレージの廃止など、機能はほぼ一新された。

「Apple TV」

 あわせて同社のオンライン店舗「iTunes Store」で開始された映画配信サービスは、そのApple TVでの視聴をにらんだものだ。インターネットとの接続はイーサネットのほかWi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)に対応、HD品質のビデオ・オン・デマンドサービスでありながら、光ファイバー回線の敷設を条件とはしない。

ワイヤレスによるストリーミング配信機能「AirPlay」を利用し、パソコン上の映画をApple TVに出力できる

 特徴的な機能は、MacやPC(Windows)およびiOS搭載デバイス(iPhone/iPad/iPod touch)との連携だ。直接Apple TVでも映画タイトルをレンタルできるが、iTunesでダウンロードしておいたものをApple TVにWi-Fiでストリーミング配信することもできる(AirPlay)。Apple TVにも信号をバッファリングして再生途中に映像が途絶えることを防ぐ機構はあるものの、iTunesでは映画をまるごとダウンロードしておけるため、映像が途絶える心配が少ない。

 iTunesでダウンロードした映画は、iOSデバイスにムーブして楽しむこともできる。iOSデバイスにもAirPlay機能が搭載されているため、Apple TVを接続したテレビにワイヤレスで映像を出力することが可能だ。

他を圧倒する「自由度の高さ」

 表1は、国内で利用されている代表的なVODサービス2つとApple TV(iTunes Store)との比較だ。Apple TVは解像度の点で見劣りするものの、光回線の導入が必須条件ではなく(Wi-Fiアクセスポイントの先はADSL回線でも可)、テレビ側の対応も必要ないため、イニシャルコストが低くすむというメリットがある。

 視聴の自由度の高さも特長といえる。一度再生を開始すると48時間以内に見終える必要があるものの、MacやPCにダウンロードしてから30日以内であれば、その48時間のカウントダウンは始まらない。再生期限がない「購入」を選択し、MacやPCに蓄えておくこともできる。iPhoneやiPadに移動すれば、通勤電車内での視聴も可能だ。

iTunes Storeからダウンロード(レンタル)した映画の詳細情報。購入すれば、再生期限なしにPCあるいはMac上で保管できる
iTunesでダウンロード(レンタル)した映画は、iPhoneやiPadに移動して視聴することも可能

 このように、PCあるいはMacの利用が前提とはなるものの、視聴が家庭のテレビに限定されるほかのVODサービスと比較すると、「どこでも楽しめる」というAppleの方針は際立っている。Apple TVについても、それ単体で評価するのではなく、iTunes StoreやiPhone/iPadなど他のApple製品/サービスとセットで理解すべきだろう。

各VODサービスにおけるハイビジョン番組のめやす

Apple TV(iTunes Store) アクトビラビデオ・フル ひかりTV
対応機器 HDMI接続可能なテレビ アクトビラ ビデオ・フル対応機 専用チューナー/ひかりTV対応機
解像度 最大1280×720ピクセル 非公開 最大1440×1080ピクセル
ビデオコーデック H.264 H.264 H.264
音声5.1ch対応
ビットレート 4Mbps 8Mbps 8Mbps
帯域の要求スペック IEEE 802.11b以上 FTTH/12Mbps程度 FTTH/15Mbps程度
購入 可(対応機器のみ) 不可
3Dコンテンツ × 対応予定
パソコンからのストリーミング × ×
モバイル機器からのストリーミング × ×
レンタル価格(新作) 〜500円 〜630円 〜735円
レンタル価格(旧作) 〜300円 〜630円 〜735円
再生可能時間 48時間※ 48〜72時間 〜72時間
※:ダウンロード後30日以内に視聴を開始し、視聴開始後48時間以内に見終える必要がある

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