HX80Rシリーズには、同社製Blu-ray Discレコーダーの秋冬モデルと同じ「高速起動モード」が用意されている。このモードを一言で説明するなら、指定した時間帯にHDDを含むレコーダー部を“ほぼ通電状態”として、ユーザーを待ち構える機能だ。その時間帯は電源オン時とあまり変わらない電力を消費するため(レコーダーの場合)、待機電力を極力抑えようとする従来の省エネモードとはアプローチが異なる。
もっとも、以前から「起動が遅いからレコーダーは電源入れっぱなし」という人が多いのも事実で、ユーザーの実情を反映したアイデア機能ということで、ヘビーユーザーからは評価が高いようだ。またテレビの場合は、消費電力の大きいバックライトを消灯するため、レコーダーより省エネになる。
さて、レコーダーの場合は起動まで0.5秒というスピードが注目を集めているが、テレビの起動時間も必要なHX80Rシリーズではどうか。まず、高速起動モード「オフ」で起動してみたところ、ホーム画面の録画番組一覧が表示されるまでに20秒程度かかった。それが、高速起動モード「オン」では約10秒と半分に短縮。また同機の場合は「再生」ボタンを押すだけで「テレビの起動→前に再生していた番組の続きを再生」まで実行してくれるので、それも試してみる。リモコンの「再生」ボタンを押すと、およそ6秒で再生画面が表示された(iPhoneのタイマーアプリで手動計測)。普段はテレビの起動だけで同程度の時間がかかるため、待たされたストレスはほとんど感じなかった。
冒頭で触れたように、HX80RシリーズはBlu-ray Discレコーダー「BDZシリーズ」と同等の録画機能を備えている。ぶっちゃけて言うと、500GバイトHDD搭載のWチューナーモデル「BDZ-AT700」がテレビの中に入っていると思っていい。
BDZシリーズは、この秋冬モデルからシステムが新しくなり、録画ユニットの区別がなくなるなど操作性が大きく改善された(レコーダーについては、すでに「BDZ-AX2000」のレビューが掲載されているので、そちらも合わせて参照してほしい)。当然HX80Rも同様で、テレビの録画機能としてはかなり高機能だ。
AVC録画モードは約16Mbpsの「XR」から約2Mbpsの「ER」まで6段階。2番組を同時にAVC録画していてもBD再生などが可能だ。もちろん、CMスキップを楽にする「おまかせ自動チャプター」や定評のある自動録画機能「x-おまかせまる録」、録画済みのタイトルを「映画」「アニメ」「ドラマ」などのジャンルごとに自動分類する「オートグルーピング」など、BDZシリーズの利便性の高い機能がそのまま利用できる。
今回は使用環境の都合で検証できなかったが、スカパー!HD録画もサポート。BDZシリーズ向けに提供されているネットワーク録画予約用アプリ「Chan-Toru」(β版)も利用できる。
このほかにも、XMBの操作に慣れていない人のために、簡略化した操作メニューを使える「らくらくスタートメニュー」、録画番組を短時間で視聴できる「ダイジェスト再生」、PSPやウォークマンで録画番組を持ち出せる「おでかけ転送」といった機能もある。とにかく録画テレビとしては多機能だ。
逆に足りない機能としては、DLNAのクライアント機能や「アプリキャスト」といった、従来はテレビ側に搭載されていたネットワーク機能が挙げられる。個人的にはDLNAクライアントの省略はかなり残念だった。
エコポイントの駆け込み需要に対応するため、当初計画から発売を10日ほど前倒しされたHX80Rシリーズ(→関連記事)。駆け足で紹介してきたが、全体の印象は、まさにソニーの3Dテレビとレコーダーをくっつけたもの。それだけに録画関係の機能に不足はなく、悪い意味での“ニコイチ”といった印象も受けない。録画テレビの省スペース性にひかれている人はもちろん、テレビと専用BDレコーダーの両方がほしい人、そしてBlu-ray 3Dの視聴環境がほしい人にも勧められる1台といえそうだ。
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