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今、買うべき? “エコポイント後”のテレビ市場本田雅一のTV Style

» 2010年12月14日 13時34分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 先週、主要なモデルはほとんど売り切れになってしまったと書いたが、どうやら一部の在庫が復活しているようだ。人気商品の場合や、元々の仕込みが少なかった製品は、サイズによって品切れのままだが、一部は在庫ありも現れている。

「薄型テレビ全体の販売台数・金額前年同月比と平均単価」(出典=BCN)

 とはいえ、この時期にお目当ての製品を指名買いできるかどうかについては、あまり期待せず出かけて、出会うことができたら……程度に考えておいた方がいい。大きな期待を持たずにでかければ、この12月はおおむね前年比50%程度の売上げで推移しているとのことなので、思わぬ在庫に出会える可能性もある。

 まだ地デジ対応テレビを持っておらず、注文もしていないという方は、積極的に求めるサイズと価格のテレビを買いに行った方がいいと思うが、本連載を読んでいるような、自分で積極的に情報を集める方々であれば、すでに購入済みという人が多いはずだ。

 何より、2011年以降のトレンドが気になるという方も多いことだろう。すでに書いたように、国内メーカーは地デジへの移行完了(アナログ停波)後に高付加価値路線へとシフトしていくと思われるため、高機能・高画質の上位モデルには期待できる。可及的速やかに地デジ対応テレビを普及させることが目的だった今年と比べ、開発のモードは確実に変化する。

 さらに、再来年になると海外メーカーの参入も考えられる。と書くと「サムスンか?」と思う方も多いだろうが、おそらく再来年以降、徐々に手強くなってくるのが中国のメーカーだ。というのも、再来年になるとテレビ向けの大型液晶パネル生産ラインが中国で本格的に動き始めるからだ。

 日本では対韓国メーカーの話題が先行しがちだが、本当に怖いのは中国でのパネル生産が、どこまでのレベルになるかだ。ここで十分な歩留まりとコストが実現できるようになると、ローエンドのボリュームゾーンを中国メーカーに持って行かれ、大規模な液晶生産工場を持つメーカーは生産計画の変更を余儀なくされるだろう。

 テレビという商品は、世界中で安定して大量の製品が売れている。だからこそ、最新技術で作られた製品が安価に買えるのであって、ボリュームゾーンを奪われれば価格競争力を失い、高画質・高機能・高音質のゾーンの製品も売れなくなってしまう。テレビの開発には、おそらく多くの人が考えている以上に多くのノウハウが注ぎ込まれており、一定水準以上の製品を中国メーカーが簡単に作れるようになるわけではないが、高画質・高機能指向の製品が欲しいという方には気になるところだろう。

 あまり先のことまで心配しても仕方がないのだが、来年あたりそろそろ買い替えてもいいかな? と思っている人は、高付加価値モデルが並ぶであろう来年末ぐらいをターゲットに購入計画を今のうちから錬っておくといいかもしれない。本来、テレビは急いで買うものではないことをお忘れなく。

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