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もっと広く、もっと明るく――LED電球の開発競争ライティングフェア2011

» 2011年03月08日 18時49分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 LEDや有機ELといった省エネ照明の総合展示会「ライティングフェア2011」が3月8日に東京ビッグサイトで開幕した。展示会場で注目を集めているのは、配光角を広げて白熱電球のように光るLED電球だ。メーカー各社の激しい開発競争が浮き彫りになった。

ライティングフェアは東京ビッグサイトで開催中。今回は、会場を西1/2ホールへと移し、出展社数258社、712小間という過去最大規模の展示会場となった(左)。ローム/丸善電機の「AGLED」(アグレット)シリーズ(右)

 配光角の広さが特長のLED電球は昨年後半から登場し始めている。例えばロームは12月に“3D-LED”をうたう「AGLED」(アグレット)シリーズを出荷。LED素子を立体的に配置することで、180度の配光角を実現した。現在は関連会社の丸善電機を通じて一部量販店などで販売されている。

 さらに状況を変えたのがパナソニック電工/パナソニックだ。同社が3月18日に発売する「EVERLEDS」(エバーレッズ)のニューモデル「LDA7D-G」(昼光色タイプ)と「LDA7L-G」(電球色タイプ)は、2重構造の反射板(リフレクター)を用いる斬新な構造で白熱電球とほぼ同じ300度という配光角を実現。「全方向タイプ」という“うたい文句”とともに、家電エコポイントとの交換需要を狙う。ライティングフェアの展示ブースでも同製品を大々的にアピールしており、内部構造が見られるカットモデルの周辺には人垣が絶えない。

パナソニックブースは、メインステージでも“全方向タイプ”を訴求(左)。カットモデルの展示(中、右)

 300度という白熱灯に匹敵する数値により、配光角に関しては行き着いたかに見えたが、パナソニックの2モデルは白熱電球でいう40ワット形相当で、白熱灯の用途をすべてカバーするには至っていない。日立アプライアンスや東芝ライテックといった競合各社は、広い配光角に加えて、より明るいLED電球を参考展示している。

 日立アプライアンスが「年内に発売予定」という新製品は、光学レンズとパワーLEDの集合モジュールを組み合わせて光を拡散する仕組み。詳細は明らかにしていないが、配光角は約300度とパナソニックと同レベルで、昼光色60形相当(810ルーメン)と電球色40形相当(480ルーメン)の2種類をラインアップ。また、それぞれに調光器対応モデルを加えた4種類を販売する予定だ。グローブは樹脂製で、ヒートシンクにはアルミを使用。寿命は4万時間を確保した。なお、気になる消費電力は約10ワットと現在のLED電球から見ると少し高めであり、密閉型照明器具には対応しない見込みだ。

日立アプライアンスの参考展示

光学レンズを使用して配光角を広げたという

 一方、東芝/東芝ライテックブースには、1100ルーメンという、まぶしいほどの明るさを持つ試作機が展示されていた。同社は昨日、白熱電球や電球形蛍光ランプに近い光の広がりを実現した「E-CORE」(イー・コア)新モデルを発表したばかりだが、展示品は「その次を目指して開発しているもの」という。LEDモジュールの立体的な配置と拡散性の高い樹脂グローブにより、配光角は270度を実現。これは、同社の電球形蛍光灯「ネオボールZ」と同じ数字だ。「40ワット形相当では、光が広がるぶん、直下照度が下がってしまう。われわれは少なくとも60ワット形相当以上で出したい」(同社)。

 気になる消費電力は15〜16ワット。放熱処理もまだ発展途上のため、かなり熱いという。「現在はまだ、いろいろと試している状況。コストや放熱のメドを立てて、2012年度に市場投入したい」と話していた。

東芝ライテックが3月日に発表した「E-CORE」(イー・コア)新製品

参考出展の高出力タイプは1100ルーメン(左、中)。ほかにも参考出展として、E26口金のボール電球形(8.9ワット)やE17の「ミニクリプトン形クリヤータイプ」(5.4ワット)、同じくE17の「ミニクリプトン形調光器対応」(5.7ワット)なども並んでいた

 「ライティング・フェア2011」の会期は2011年3月8日(火)から11日(金)まで。開催時間は、10時〜17時(最終日のみ16時30分まで)。入場料は一般1500円だが、Webサイトから事前登録を行えば無料になる。

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