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“REGZA”新製品に初採用、「InstaPort S」の実力を探る動画で確認する(1/2 ページ)

» 2011年04月21日 21時33分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 東芝は、液晶テレビ“REGZA”の2011年春モデルにおいて、他社に先駆けて米Silicon Imageの「InstaPort S」を導入した。HDMI入力の切り替え速度をさらに向上させるというInstaPort Sだが、どれほどの違いがあるのだろうか。最新モデル「37Z2」とInstaPort搭載の従来機種「37Z1」を用い、実際にスピードを比較検証した。

従来版「InstaPort」(左)と「InstaPort S」(右)。ロゴマークも速そう

 そもそもHDMIの入力切替に時間がかかったのは、著作権保護技術として採用されたHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)の認証が原因だ。テレビの入力を切り替えると、ソース機器とテレビの間でEDID(Extended Display Identification Data)やKSV(key Selection Vector)が交換され、テレビのCPUであるSoC(System on Chip)が映像を解析して画面に映像が出る。初期のHDMI搭載テレビは、入力を切り替えるたびにHDCP認証が行われたうえ、SoCの処理能力も十分ではなかった。このためリモコンのボタンを押してから画面が表示されるまで、長いものでは6〜7秒もかかるケースがあった。

シリコンイメージ ジャパンの竹原氏

 2008年に登場した「InstaPort」は、テレビの電源オンもしくはソース機器を接続した時点からバックグラウンドで認証作業を行うことで入力切替操作を行った際の処理時間を短縮。同技術に対応したHDMIコントローラチップを搭載したテレビは、製品にもよるが2秒弱で切替が可能になった。

 ユーザーのストレスを軽減するInstaPortはテレビメーカー各社に受け入れられ、シリコン イメージジャパンの竹原茂昭社長によると、現在ではワールドワイドで7000万台に上るInstaPort対応テレビが存在するという。テレビやプロジェクターといった出画機器に実装されていれば、ソース機器を問わない点も普及が進んだ要因だろう。

 今回、東芝の“REGZA”に採用された「InstaPort S」は、InstaPortをブラッシュアップしたもの。「選択していないポートでもバックグラウンドでHDCP認証を行う基本路線は変わっていません。ただ、従来のInstaPort対応HDMIコントローラはソフトウェア処理を含めて行っていましたが、InstaPort Sではそれをハードウェアに置き換えて高速化を図っています」(竹原氏)。

 またソース機器の中には、HDMIのスペックに則っていても個別のクセがあり、切替スピードに影響を及ぼすケースがあったという。同社では、この2年で蓄積したノウハウをコントローラチップに反映し、「テレビ側がInstaPort Sをサポートしていれば、ソース機器側に影響されず、同じレベルのスピードで切り替えられるようになった」という。

 ただし、シリコンイメージでは切替速度について30〜40%の向上という大ざっぱな数字を示すにとどめている。それはHDMIの切替がSoCの処理能力と密接にかかわる“合わせ技”であり、製品個々の設計に大きく左右されるためだ。東芝“REGZA”が新エンジン「レグザエンジンCEVO」を採用したこともスピードに影響する可能性は高い。なお、REGZA春モデルにおいて、InstaPort S搭載機種は、3月下旬に発売された「Z2シリーズ」および先日発表された「ZP2シリーズ」の2シリーズ計5モデルとなっている。

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