では、ピュアオーディオ目線で聴くクオリティはいかがなものだろう。
今回の試聴は、オンキヨーのデスクトップPC「DT6200」へ搭載した基本システムで、音質の比較用にUSBサウンドデバイス「SE-U55SX2」とともに試した。
さて、音の話を始める前に“その他”のインプレッションを。まずSE-300PCIEは、パーツ実装面に電磁ノイズシールド用のカバーが装着されているため、厚みが1スロットスペースいっぱいのサイズとなっている(加えて、7.1chのアナログ出力用ブラケットにもプラス1スロット分の空きが必要だ)。また、ロープロファイルには対応しないので、デスクトップPCでもスリムタイプなど、ロープロファイルのみの拡張カードに対応するPCケースのモデルには装着できない。
ドライバ類のインストールと同時にインストールするクリエイティブメディア製のセッティングソフトは、用途によって3つのモード(ゲーム/エンターテインメント/クリエイティブ)が選べるようになっている。
クリエイティブモードに関しては、DTMなどの使用を目的としたタイプのため、少々使い方に慣れが必要だ。なお、こちらはASIOドライバを使った高音質再生も選択できるが、再生できる音楽ファイルがデジタル出力の制限である最大96kHz/24ビット止まりになる。各モードは簡単に切り替えできるので、目的によって使い分けるのもいいだろう。
では、アナログ出力によるサウンドチェックを行おう。
試聴システムは、Lifestyleチャンネルの記事でおなじみの筆者宅「極小シアター」システムで行った。スピーカーはパイオニア製のTAD「TL-1601b(15インチ口径のウーファー)」+「TD4001(4インチ口径のホーン型ドライバー)」の2ウェイ構成で、これにヤマハ「101M」というデュアル・モノラルパワーアンプを組み合わせている。どちらもプロフェッショナル向けのオーディオ機器だ。またSE-300PCIEからの音声出力は、アナログ、同軸デジタルともにいったんAVアンプのパイオニア「SC-LX71」へ入力し、それぞれの出力やほかの機器との音質的な違いをチェックした。
まず、SE-300PCIEのサウンドはかなりのクオリティであることに驚いた。S/N感はいたって良好で、無音の時の静けさはPC内蔵サウンドカードであることを忘れてしまうくらいだ。
そしてなにより、ダイナミックレンジの広さにもうっとりする。音の強弱表現がとても細やかでありながら、迫力も十分以上に感じられる。特にクラシック、中でもオペラなどとの相性が抜群で、女性歌手が感情を込めて力強く歌い上げる様子がひしひしと伝わってくる。音色傾向としては、温度感の高いサウンドといえるだろう。
接続を同軸デジタルに変えると、これまでのダイナミック感はそのままに重心が少し下がったサウンドバランスとなった。音のキレというか、フォーカス感が多少向上した印象だ。個人的にはこちらの音色傾向の方が好みだが、逆にいえば、同軸デジタル出力と大差ないクオリティを、PC内蔵サウンドカードのアナログ出力で実現したことがすばらしいと思う。やはりここに大きなメリットを感じる。
もう1つ、メーカーが高音質をアピールするヘッドフォン出力に関しては、スタジオモニター用ヘッドフォンであるソニー「MDR-Z1000」で試聴した。残念ながら、こちらは完全に組み合わせに失敗してしまった。MDR-Z1000はすべてのアラをさらけ出してしまういっさいの緩衝材のないストレートなキャラクターを持つため、SE-300PCIEのダイレクト感の強いサウンドの荒々しい面が強調されてしまい、気持ちよく演奏を楽しめなかった。SE-300PCIEのヘッドフォン出力には、モニター系ではなく一般的なオーディオ系のモデルを組み合わせるほうがよさそうだ。
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