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“麻倉式PCオーディオ”のススメ(後編)麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/3 ページ)

» 2011年07月27日 17時06分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 最近、オーディオファンの間で「PCオーディオ」「ネットワークオーディオ」といった言葉が流行している。手持ちのCDをリッピングしてライブラリ化したり、パッケージメディアより高音質の音楽配信サービスを利用して好みの音楽ファイルを入手してPCやネットワークプレーヤーで再生する。実践したみたいと考えているオーディオファンも多いのではないだろうか。今回は、最新刊「高音質保証!麻倉式PCオーディオ」(アスキー新書から8月10日発売予定、780円)を書き上げたばかりの麻倉怜士氏に、最近のオーディオのトレンドやPCオーディオのTipsを語ってもらった。


――前回は音楽配信サービスのトレンドやPCオーディオの基本について伺いました。後編ではPCオーディオを実践する上のTipsを聞かせてください

麻倉氏:前回、PCはオーディオプレーヤーとして造られていないことを指摘しました。今回は具体的な注意点を挙げていきたいと思います。本書をしたためるに当たっては、とにかくPCの音を良くする可能性がある事柄だったら、何でも(マユツバでも)試してみました。実際、何かをするとこれほど劇的に音が変わる(良い方にも、悪い方にも)オーディオなど、最近、みたことありませんね。

 まず、常駐ソフトの類は知らないうちにPCのリソースを多く消費しています。実際には音楽信号を再生するだけのリソースがあればいいのですが、いらないトコロにリソースを食われていると、音質的には実に良くありません。例えるなら、頭に使うべき栄養が筋肉に回っているような状態で、こうした損失をいかに減らすかが重要ですね。先ほど「専用のPCで」と言ったのも、そうした事情からです。

 もう1つは、OS標準のミキサーをいかに通らないようにするか。カーネルミキサーは、PCが出すすべての音を管轄する部分で、例え96kHz/24bitのデータが来ても、お知らせチャイムのような低いパラメーターの音声があるとそれに強制的に統一されてしまいます。これを外すことができれば良いのですが、Windows XPまではその機能がなく、「ASIO4ALL」などのサードパーティ製のアプリケーションを使わなければなりませんでした。一方、Windows Vista以降は、「WASAPI」(Windows Audio Session API)を標準装備して対応デバイスやアプリでカーネルミキサーをバイパスできるようになりました。良い音を聞く場合はこれらをオンにすることが必要になります。

 また、オーディオファンにとっては常識ですが、振動は音の大敵です。PCというのは、オーディオ用途をまったく考慮せずに設計されているため、ここの気配りはさらに重要です。始めから良い音を出すための機能を備えた専用プレーヤー機器とは全く違うことを認識しておきましょう。

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