録画時のマルチタスク性も確保した。例えば2番組同時の長時間録画中でもDLNAの配信(サーバ)と再生(プレーヤー)のいずれかは可能。録画が1番組までなら配信と再生の機能を同時に利用することもできる。
Z2シリーズで省略されていたNAS上のファイル再生も復活した。これは、PCなどでNASに保存したムービーカメラの動画(AVCHD、MPEG-2)をネットワーク経由で再生できるというもの。Z2シリーズについても、来春のファームウェアアップデートで同機能が利用できるようになる予定だ。
液晶パネルは、Z2シリーズと同一のハイコントラストIPSパネルを採用し、部分駆動が可能なエッジ型LEDバックライトと組み合わせた。エリアコントロールは8×2の16分割。また補完フレームを追加する倍速駆動にバックライトスキャンを併用して残像を低減している。スリット状の導光板を用いて光の拡散を抑え、精度の高いスキャンを可能にした点もZ2シリーズと同じだ。
映像エンジンは、「レグザエンジンCEVO」で、デュアルコアの処理能力を生かして多くの新機能を採用している。まず、超解像技術は「レゾリューションプラス7」に進化。これまでの再構成型超解像、3次元フレーム超解像、色の超解像、自己合同性型超解像といった技術を包含した上で、さらに「カラーテクスチャー復元」を追加した。
放送波やBDでは、デジタルコンポーネント映像信号のカラーフォーマットが4:2:0のため、色の信号帯域(色解像度)が水平方向も垂直方向も半分になる。実用上は問題ないとされているものの、実は色情報の高域成分が落ちてしまうため、色差信号に多く含まれる細かいテクスチャーが伝送経路で失われることになるという。これを復元するのがカラーテクスチャー復元。輝度の水平と垂直の高域成分を加算して増幅することで、高彩度画像のテクスチャーを復元し、質感の描写を向上させる。
カラーテクスチャー復元は、RGBのすべてに有効だが、中でも効果的なのがR(赤)だ(このため設定がオートの場合は赤にしか働かない)。デモに使用された赤い花の映像では、設定をオンにしたとたん、それまで見えなかった花びらの脈が鮮やかに浮き上がった。また色の超解像処理と合わせ、輪郭の描写を向上させる効果もあるという。
共通の機能が多いZ3/ZP3シリーズだが、ゲームモードに関してはZP3シリーズのほうが一歩先を行っている。Z3は基本的に春モデルのZP2シリーズと同等の「ゲームダイレクト」を搭載しているが、ZP3はZP2シリーズの「3Dゲーム・ターボ」を継承した上、新たに「ゲームスムーズ」モードが加えられた。遅延時間はどちらも約0.7フレーム(約12ミリ秒)。
ゲームスムーズモードは、倍速駆動と補完フレームの生成を行いながら低遅延を実現するモードだ。約1.3フレーム(約21ミリ秒)と遅延時間は少し増すものの、前後2枚の映像から補完画像を生成して残像感を抑えられる。「シミュレーションゲームやロールプレイングゲームなど、遅延があまり問題にならないゲームを滑らかな映像で楽しめる。残像を減らしたい、あるいはゲーム中のムービーをスムーズな映像で見たい、といったニーズに応えたもの」(東芝)。
このほか、アニメ視聴時に発生するコーミングを適切に処理して滑らかなエッジ部を再現する新しい「アニメモード」や、DLNA経由の映像でも12bit階調処理が可能になるなど、さまざまな部分でアップデートが加えられた。もちろん、「YouTube」や「ひかりTV」といった各種ネット動画配信サービスへの対応や「レグザAppsコネクト」なども継承している。
「エコポイント特需が終わった今こそ、メーカーの提案力が重要であり、“これからのテレビ”を発信していく必要がある。今回はその第1弾」(東芝)。
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