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ハイレゾ時代のオーディオアクセサリー、クリプトン「HRシリーズ」をチェック野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(1/2 ページ)

» 2011年09月28日 02時35分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]

 この春、低価格ながらもクオリティーの高いオーディオ用USBケーブルを発売したクリプトンから、新たにHR(High Resolution)シリーズと銘打った6カテゴリー、11アイテムの高級オーディオアクセサリー製品が発表された。10月中旬から順次店頭に並ぶ見込みだ。

 クリプトンのラインアップのなかでも最上級に位置するこのHRシリーズは、ハイレゾ時代にマッチした高品位なオーディオアクセサリーを目指して製作されたもの。96kHz、192kHz/24bitというCD時代とは一線を画す高音質サウンドを余すところなく再生するため、こだわり抜いた製品開発が行われている。とくに素材においてはかなりの研究とテストが繰り返され、結果としてこれまでオーディオ用としては使われていなかった制振素材「ネオフェード」や電磁干渉抑制体「バスタレイド」、良質なことは分かっていたけれどもあまたの事情により採用実績の少ない「絹糸」をあえて採用するなど、ユニークなアプローチが数々行われている。

ケーブル内部の保護材に絹糸を採用した電源ケーブル(左)。開発を主導したクリプトン技術開発室の渡邊室長(右)

 そのなかでも注目すべき技術は、

1. 「ネオフェード」+カーボンによる効果的かつ自然な振動吸収

2. 「バスタレイド」によるシールドでなくノイズ抑制という方法論

3. PCOCC-A(単結晶高純度無酸素銅)導体ならではの特長を生かしきること

4. 介在(ケーブル内緩衝材)に絹糸を採用するメリット

 の4つだ。


 例えば、1の「ネオフェード」は、これまでゴルフクラブやテニスラケットなどに採用実績のある素材だが、オーディオ製品に利用されたのはこれが始めて。これにカーボンを組み合わせる(カーボンでネオフェードを挟み込む3層構造)ことで、強力な制振能力を持ちつつも、人間にとって違和感のない自然な減衰(=音色と響き)を実現しているという。

 次に2の「バスタレイド」は、これまで外部ノイズを遮断することに重きを置いていた考えを転換し、電源そのものが持つノイズを低減させてしまおうという手段だ。ケーブルのアンテナ効果などで発生した高周波ノイズを、このバスタレイドにより熱変換させ、高域のSN感が大きく改善したという。


 そして3と4は、ケーブルの構成素材に関する話題だが、コストや製作の手間を惜しまず、適材適所のマテリアルを採用することで、クオリティーの高いサウンドを実現させるというプラン。特に絹糸は、難燃性で絶縁能力も高く、当然帯電性も低いケーブルに使うにはかなり良好な素材だが、価格面やケーブル素材としての汎用性の低さ(一般的にケーブル類は1ロット1200メートル単位だが、絹糸は自然素材であるため900メートルが基本単位となり、繋ぎ目ができたり効率が悪かったりするが、HRシリーズでは1200メートルの長尺絹糸を探し出して使用)がネックとなってあまり使用されなかった。それにあえてチャレンジしたのが、このHRシリーズらではといえるだろう。

 さて、では具体的な製品を見ていこう。

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