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CEATEC振り返り(2) 東芝“レグザサーバー”の隠れた魅力本田雅一のTV Style

» 2011年10月24日 16時56分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 前回のコラムから少し時間が空いてしまった。「CEATEC JAPAN 2011」からも時間が経過しているが、むしろ製品について話すにはちょうど良い時期かもしれない。年末ギリギリに登場しそうな新製品の詳細なコンセプトが、明らかになってきたタイミングだからだ。

 例えば東芝の“レグザサーバー”。12月に発売が予定されているこの製品は、6チャンネルの地上デジタル波を常時録画し続けるという「CELL REGZA」や“REGZA”「ZG2シリーズ」が持つ「タイムシフトマシン」の機能をBlu-ray Discレコーダーの中に取り込んだものだ。さらにデジタル3波対応チューナーを2系統内蔵し、通常の予約録画を同時2番組まで行うこともできる。

レグザサーバー「DBR-M190」。過去番組表から好きな番組を選んで視聴できる

 価格は、大容量の「DBR-M190」でも、実売20万円程度になるとみられる。この価格に”安い”との声が上がるのは、やはり「地上波全チャンネル常時録画」の威力を知る人が少なくないからだろう。

 しかも、CELL REGZAやZG2シリーズにはない要素が、レグザサーバーには盛り込まれている。H.264エンコード機能が、タイムシフトに使う全チャンネルに対して有効なのだ。H.264エンコードを用いて映像を圧縮すれば、タイムシフトマシンでさかのぼれる日数はのびていく。

 タイムシフト用として4TバイトのHDDを搭載したDBR-M190の場合(+通常録画用に1Tバイト)、H.264エンコード機能と組み合わせることで6チャンネル、24時間、15日分のタイムシフトを利用できる(約4Mbpsの低画質モード時)。この15日分という数字には理由がある。それは「このドラマ面白いわよ」と主婦の間で評判になるのが、大抵は3回目の放送日なのだそうだ。つまり、15日分のタイムシフトデータが残っていれば、この情報をゲットした日に初回放送までさかのぼることができる。2週間分のタイムシフトではなく、15日分のタイムシフトにビットレートを調整しているのは、実はそんな調査結果に基づいているそうだ。

型番 タイムシフトマシン用HDD容量 TSモード(放送波そのまま) 高画質 中画質 低画質
DBR-M190 4Tバイト 3日 6日 9日 15日
DBR-M180 2Tバイト 1.5日 3日 4.5日 8日
24時間6チャンネルを録画した場合の記録日数

 さて、このレグザサーバー。全チャンネルを継続して録画することで、いつでも過去に戻り、時間の枠にとらわれず、いつでも好きな時にテレビを楽しめる。そんなタイムマシンのような特長は、もちろん便利だ。これについて改めて語る必要もないだろう。「いつ見てもいい」という機能は、「忙しくてテレビを見る機会が減った」という人にこそオススメだ。

 しかし、そうした利便性も全チャンネル録画の良いところだが、もう1つ、全チャンネル分あるからこそのメリットがある。それは「他機器のチューナーとして使える」という点だ。もちろん、従来の1〜3チューナのレコーダーでも、外付けチューナーユニットとして使うことは可能だ。しかし、録画中は録画していないチャンネルを表示することはできない。全チューナーが録画で稼働しているタイミングには、単体チューナーとして使えないということだ。

 しかし、全チャンネル録画しているのであれば、そのうちの1つのチューナーで受信している番組をそのまま映像出力、あるいは直後を追いかけ再生させても、まったく機能に支障は起きない。単体チューナーとしても、録画機としても、機能を損ねることなく利用できるわけだ。たいした話ではないようだが、実はこれが大きい。

レグザタブレットの「RZライブ」で放送番組のリアルタイム転送を楽しめる

 例えば、“レグザタブレット”との連携。レグザサーバーは、レグザタブレットに対して任意チャンネルの番組をほぼリアルタイムでネットワーク転送できる。これがチューナー数が限られるレコーダーであれば、見ることが可能か不可能かは使い方次第。しかし、レグザサーバーは全チャンネル分のチューナーを持ち、”どのチャンネルも選択できる”ことが保証される。

 これはテレビに接続した場合も同じだ。

 通常、レコーダーのチューナーは録画にしか使わず、テレビ放送を直接見る際には、テレビ内蔵チューナーを使うといった使い分けをしていると思う。しかし、レグザサーバーならば、そのようなことをしなくとも、常にレグザーサーバーを利用し、テレビは純粋なディスプレイとして使っても不具合は起こらない。

 さらに、テレビと同じ「CEVOエンジン」を搭載してるため、REGZAシリーズではお馴染みの「質感リアライザー」や「色情報の4倍復元」「複数フレーム超解像」などをこなすことができるというのもポイント。メニュー構成や使い勝手、さらにはリモコンデザインに至るまで、最新型REGZAと同じことを自分のテレビを通して疑似体験できる。

 もし、「少し古いけれど、フルハイビジョンのテレビは持っている」というのであれば、レグザサーバーを接続することで、最新テレビの持つ機能をすべて、古いテレビで楽しめるのである。接続しているテレビのオン/オフは、HDMIの連携機能を用いて自動的に行わせることもできるため、まるで自分が今まで使っていたテレビが、いきなり最新のREGZAに変身するかのように使える。

 接続するテレビの画質モードを、素直な味付けの少ないものに設定しておく必要はあるが、接続するだけで最新テレビと同等以上の画質処理や機能が利用できるというのは、なかなかユニーク。新鮮な使い勝手だ。

型番 DBR-M190 DBR-M180
HDD タイムシフトマシン用4Tバイト+通常録画用1Tバイト タイムシフトマシン用2Tバイト+通常録画用500Gバイト
BDドライブ BDXL対応、AVCREC対応、スロットローディング式
チューナー 地上デジタル×8、BSデジタル×2、CS110度デジタル×2
無線LAN IEEE 802.11n内蔵 なし
入力端子 なし(外部入力による録画機能はなし)
出力端子 HDMI×1、映像出力×1、光デジタル音声、2chアナログ音声
そのほか USB×2(背面に録画用×1、前面にBD-Liveメモリ用×1)
消費電力 未定
外形寸法 430×336×80ミリ 430×332×80ミリ
本体重量 未定
実売想定価格(オープン) 20万円前後 15万円前後
発売時期 12月中旬

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