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北米では60V型以上が旬? シャープが大型液晶テレビの好調さをアピール

» 2011年12月08日 18時03分 公開
[ITmedia]

 シャープは12月8日、北米市場における大型液晶テレビに関する戦略説明会を開催した。挨拶に立ったシャープ・エレクトロニクス・コーポレーション会長兼社長の高橋興三氏は冒頭、「デジタル化や新興国の台頭を背景に“日本の薄型テレビは終わってしまうのではないか”などと報道されている。しかし、大型テレビの製造はノウハウの塊。新興セットメーカーが簡単に真似できるものではない」と指摘した。

発表会は大阪と東京の会場とテレビ電話回線でつないで行われた。常務執行役員米州本部長兼シャープ・エレクトロニクス・コーポレーション会長兼社長の高橋興三氏(左)とAVシステム事業本部液晶デジタルシステム第2事業部副事業部長の田中淳登氏

 北米市場では、大型テレビが従来のリアプロジェクションタイプから液晶やプラズマに置き換わりつつある。ディスプレイサーチの調査によると、販売台数は順調に拡大している中、「PDPの販売台数が横ばいであるのに対し、液晶の伸びが著しい」。2013年度以降は金額で5%程度の前年割れを予測しているが、「60インチ以上はまったくの新しいカテゴリー。サイズ別ではほとんどのカテゴリー(サイズ)で落ちているが、60V型以上は2.5倍に伸びた」(高橋氏)。

北米市場の大型テレビ販売動向

 シャープは2011年4月に70V型モデル、9月に80V型の「80LE632」を相次いで投入し、直近のシェアでは台数/金額ともに7〜8割を確保している。現在では60V型以上に計18モデルをラインアップしており、売れ筋ランキングのトップ10に同社製品が8機種もランクイン(11月第4週)。また、従来のAQUOSブランドに加え、パイオニアのハイエンドAVラインである“ELITE”ブランドでもクアトロン搭載の60V型と70V型を展開した。「高価で、また販売店の数も限られているが、シャープブランドのイメージを牽引している」(高橋氏)。

パイオニアの“ELITE”(エリート)ブランドでもクアトロンを販売(左)。取り扱い店舗も拡大中

 取り扱い店舗は、2011年の大型ラインアップ投入前が3300店舗だったのに対し、現在は3.8倍の1万2000店舗まで拡大。また米国では製品の売れ行きに大きく影響するという量販店のチラシ占有率でも、昨年の9.3%から18.7%に上がったという。シャープでは、2011年度における60V型以上の販売目標を北米全体で100万台以上としている。これは前年の5倍にあたる数字だが、「目標アメリカだけで達成できそうな勢い。カナダやメキシコを考えると若干上ぶれできるだろう」(高橋氏)。

 一方、冒頭で触れた新興メーカーの台頭については、「われわれは第10世代のパネル製造ラインを持っている。競合他社の動きを見ていると、この時期に大型液晶パネルに投資することは難しいだろう」と指摘。大型テレビ製造では優位にあることをアピールした。

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