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豊かな拡がりでノリのよい演奏を満喫、ファイナル 「Adagio V」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(1/2 ページ)

» 2011年12月15日 14時23分 公開
[ITmedia]
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 ヘッドフォンからテレビ、ホームシアターまで、さまざまなジャンルの数多あるAV系新製品のなかから注目の新製品をピックアップし、いち早いレビューをお送りしていく「野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review」。今回はファイナルオーディオデザインの新イヤフォン、「Adagio V」を紹介しよう。

「Adagio V」。赤と黒のラインで左右が区別しやすい

 先日、ファイナルオーディオデザインより一気に3モデルもの新製品が登場した。「Adagio」(アダージョ)シリーズと名付けられたそれらの製品は、2年間かけて開発したというブランニューの8ミリ径ダイナミック型ドライバーを搭載。さらに筐体(きょうたい)は、上位モデルで培った、空気の流れを最適化する形状を採用しているという。

 試用機の「Adagio V」は、3モデルのなかでも最上位の製品となる。不要共振を抑えるために削り出しのステンレス筐体を採用するなど、素材的(下位2モデルはABS樹脂製)にもデザイン的にも他の2モデルとは異なるアイデンティティーを見せる。ちなみに、素材変更によって音色傾向を積極的に変え、バリエーション化するのはファイナルオーディオデザインが得意とする手法の1つで、最上級モデル「Piano Forte」シリーズでも採用されているもの。また、「Adagio」シリーズ用に新設計されたシリコン製イヤーピースや、タッチノイズの軽減や取り回しの良さを考慮した柔らかめのケーブルのチョイスなど、音質、使い勝手の両面で、細部まで作り込んでいる点は同ブランドらしいこだわりといえる。

ホールド感はかなりしっかり

 ステンレスの削りだし筐体を採用するだけに、本体は一般的なイヤフォンに比べて確かな重さを感じる。加えて、磨き抜かれた表面やノズル近くの加工など、丁寧な作りが施されているので、価格以上の上質感も漂っている。実際、タイの洪水被害の影響で予定していた部品生産ラインが使えず、初期ロッドに関してはとてもこの定価で販売できないようなコストがかかっているという話だから、価格以上に上質、という外観も説得力があるというものだ。

ステンレスの削りだし筐体を採用しており、質感は高い。重量は16グラム。インピーダンスは16オーム

 なお、音質重視のステンレス筐体といっても、重すぎて耳からこぼれ落ちてしまう、というほどではない。専用設計のイヤーピースとも相まってか、ホールド感はかなりしっかりしていて、歩行中に外れてしまうようなことはなかった。ケーブルが筐体後方(耳側の真反対)から出されているため、下位2モデルに比べて多少飛び出す傾向はあるものの、邪魔になるほどでもない。どうしても気になるという人は、ケーブルを耳の後ろにまわす、いわゆる“シュアがけ”にしてしまうのも1つの手だろう。

 音漏れに関しては、後方(ケーブルの周り)がわずかながらも解放されているため多少はあるものの、それほど大きいわけではないので、屋外、電車内などの使用もとくに問題はない。

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