ぼくは自宅のシアタールームでは、ソニーの「BDZ-AX2700T」とパナソニック「DMR-BZT9000」という2つのBlu-ray Discレコーダーを使い分けている。昨年の秋に発売されてすぐこの両トップエンドモデルを入手し、さまざまテストしてみた結果、パナソニックのDMR-BZT9000を50V型プラズマモニター(パイオニア『KRP-500M』)につないで主力エアチェックマシンとして使い、ソニーのBDZ-AX2700Tをプロジェクター(ビクター『DLA-X9』)につないで主に再生専用機として使用するという状態に落ち着いた。
7年ほど前から録画機としてパナソニックのBDレコーダーを使い継いできたこともあり、操作感覚がきわめてしっくりくるというのが、DMR-BZT9000を主力レコーダーとして使っている最大の理由。いっぽうBDZ-AX2700Tを主力BDプレーヤーとしたわけは、DMR-BZT9000に勝るとも劣らない基本性能を実現していることに加え、わが家の110インチ・スクリーンの大画面に投写したときに、きわめて有用な画質調整機能を有しているからである。そんなわけで、ここでは本機ソニーBDZ-AX2700Tの魅力のポイントに迫ってみたいと思う。
ソニーのBDレコーダーは、一昨年(2010年)の秋に発売された「BDZ-AX2000」で大きく飛躍した印象があるが、その後継機であるAX2700Tは、AX2000で詰めきれなかった部分をもう一度見つめ直し、真摯に性能改善に取り組んだ正統進化モデルといっていいだろう。
内蔵HDDの容量は、先代BDZ-AX2000と同じ2Tバイト。しかし今回はUSB外付けHDDが接続できる仕様となり、最大2Tバイト(合計4Tバイト)まで容量を増やすことができるようになった。地デジ、BS、110度CSすべて3チューナー仕様の3番組同時録画対応になったこともあり、外部USB HDDとの連携で容量アップを果たしたことは、ヘビーエアチェッカーにはうれしいポイントだ。
アルミの天板がおごられた、シンプルでスクエアな高級感あふれるデザインもBDZ-AX2000を継承している。操作性、機動性のよさもBDZ-AX2000同様で、過去のソニー製レコーダーに対して抱いていた不満を一掃している。
長時間録画時の画質については、同社独自の「インテリジェントエンコーダー」が第3世代となり、よりいっそうの高画質化が図られている。EPGの番組情報に応じてエンコード・アルゴリズムを最適化する「ジャンル別エンコーディング」、人物の顔など人間がもっとも注目する被写体を認識し、そのエリアを保護することで低レート時の画質を高める「ビジュアルアテンション」技術が進化、シーンごとに画像解析を行ない、改善効果のより高いフレームを特定し、いっそうの高解像度化と低ノイズ化が図られている。BDZ-AX2000同様、11倍記録(平均2.1Mbps!)のERモードが搭載されているが、このモードでもフルHD解像度が守られているのはちょっとした驚きだ。
とはいいつつも、先述の通りぼくは本機をレコーダーではなく、BDプレーヤーとして使っている。なぜなら本機の再生画質を司る「CREAS Pro」の出来がすばらしいことに加え、ひじょうに面白い画質調整機能を有しているからだ。すべての信号処理を16ビット精度で行なう「CREAS Pro」はBDZ-AX2000でも高く評価されたが、この回路もBDZ-AX2700Tで着実に進化している。とくに注目したいのが、クロマアップサンプリングの改善による色純度の向上だ。クロマ(色)信号を圧縮して伝送する放送やBD ROMから、元素材の色相を推測する手法を磨くことで垂直方向の色にじみを軽減できるようになり、BDZ-AX2000に比べても明らかに色ギレのよいクリアな映像が得られるようになった。
BDZ-AX2000でもユーザーにさまざまな映像調整項目が開放されていたが、BDZ-AX2700ではそれらを踏襲しながら新たに興味深い調整項目が加わった。それがコンテンツのオリジナル信号に加えられている目障りなシュートを抑える調整項目だ。シュートというのは、輪郭強調によって生じる輪郭左右の白線のこと。左側に出るのがプリシュート、右側に出るのがオーバーシュートだ。
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