消費電力の低さや長寿命を武器に需要を拡大してきたLED照明。ここ数年で急速に普及と低価格化が進み、メーカー各社は差別化のための“次の一手”を模索しているようだ。3月6日から9日まで、東京・有明の「東京ビッグサイト」で開催された「第4回LED Next Stage 2012」では、新しい価値を加えた家庭用LED照明を見ることができた。
三菱電機オスラムの“PARATHOM”(パラトン)に仲間入りしたのは、330度という配光角(光の広がり)を持つ全方向タイプだ。LED電球は光が直線的で以前は「真下しか明るくない」などと指摘されることも多かったが、2010年後半あたりから各社が広配光角タイプを開発。現在では約310度とされる白熱灯を超える製品も珍しくない。PARATHOMの新製品も、他社に追随したものといえる。
PARATHOMがユニークなのは、LEDモジュールの実装方法とデザインだ。まるで樹脂製グローブにフレームが食い込んだかのような形状で、内部には天面および側面5カ所にLEDモジュールを実装。つまり、最初から真横に向けても光る構造になっている。内部には放熱のための空間を設け、のぞき込むとヒートシンクらしき凹凸も見えた。
デザインは機能的ではあるものの、見る人によって好き嫌いは分かれそう。同社の担当者も「男性はともかく、女性層にはウケが悪いようです」と苦笑いしていたが、この製品が真価を発揮するのは、傘などカバー付きの照明器具あるいは天井や壁に反射させる間接照明などだ。傘に明るさのムラができず、全体を明るくできるのがメリットとなる。
ラインアップは、白熱電球換算で60ワット形の「LDA11L/D」、および40ワット形の「LDA8L/D」(いずれもE26口金、電球色と昼白色の2種)を発売。さらに2012年の年央をメドにE17口金のミニクリタイプ(40ワット形相当)をリリースする予定だという。
パナソニックブースのイチオシは、グローブが透明なクリアタイプのLED電球だ。従来のLED電球といえば、直線的なLEDの光を拡散させる白いグローブが普通。しかしパナソニックは、見た目も白熱灯に近い透明なグローブを使い、LEDパッケージをその中央に配置したクリアタイプを発売した。
グローブの中心に発光部が浮いて見える様子は、まるで白熱電球のフィラメント。見た目はほぼ“裸電球”のため、電球が露出するデザインの照明器具にも利用できるだろう。
同社によると、「LEDモジュールを宙に浮かせ、さらにモジュール下部の基板を透明(透過性アルミナ基板)にすることで、光が上方向だけでなく、下方向にも放射される。きらめき感の強いクリアガラスを生かす明かりを実現した」という。
現在のところ、放熱などの課題もあり、ラインアップは20ワット形相当の電球色のみ(4.4ワット)。しかし、その試みが評価され、同社のクリアタイプLED電球は2011年の「グッドデザイン賞金賞」をはじめ、各地のデザイン賞を受賞している。
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