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テレビだけじゃない? 自分のための小型テレビを選ぶ(2)本田雅一のTV Style

» 2012年03月21日 13時21分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 先週の記事が掲載された後、「イマドキの新生活ならノートPCだけでも十分じゃないか?」という意見をいただいた。確かにPCを自宅に置こうというのであれば、ノートPCにテレビチューナーを接続する、あるいはチューナー内蔵のPCを選ぶ手はある。

 後者であれば、画質もキッチリとケアされていることも少なくない。一時期、日本のパソコンメーカーはこぞってノートPCのAV機能を競っていたため、チューナー内蔵ノートPCの質は馬鹿にできない。

 いくつか見た中で、これはちゃんと映像を作っていると感心したのは、ノートPCならばソニー「VAIO Fシリーズ」だ。安物のテレビを買うよりも、よほどちゃんとした映像が楽しめる。デスクトップなら同じくソニーの「VAIO Lシリーズ」もしっかりした作りだが、東芝の「dynabook REGZA PC D731」も比較検討したい。スタイリッシュさではVAIOだが、レコーダーとの連動や内蔵スピーカーの質などトータルではREGZA PCも捨てがたい。

ソニーの16型ワイドクラスのAVノートPC「VAIO Fシリーズ」。写真は3D対応の最上位モデル「VPCF249FJ」(左)。東芝の「dynabook REGZA PC D731」は、AV機器と連携する「レグザリンク・シェア」をサポート(右)

 では、NECや富士通のようなPC専業メーカーのテレビパソコンがダメなのか? というと、決してそんなことはない。”テレビ”という商品をよく知り、画質なども含めてよいまとめができているのはAVも手がけているメーカーだが、テレビパソコンが登場して10年以上、機能や使い勝手に関してはPCメーカーもきちんと作り込んでいる。

 ただし、テレビとPCが一体化していると、PCを買い替えたい時にテレビも一緒に替えなければならないことには注意したい。テレビは7〜8年ぐらいの買い替えサイクルなのに対し、PCは3〜5年程度の場合が多いようだ。となれば、テレビ部分をムダに買い替えることになる。

 もっとも、3〜5年も経過すれば生活のスタイルも変化して、テレビを買い増しているからあまり関係ない、というケースが多いかもしれない。新生活を始めるとき、数年後の生活スタイルを描くなど、とうてい不可能なのだから想像してもしかたがないが、一体化された機能は分離できないという前提で考えて、あとはどうするかだ。冒頭で述べたように、チューナーユニットを後から付け足すだけで済ますという手もあるが、使い勝手は落ちる。インストールする環境によって安定しないケースも散見されるので、なるべくシンプルな機能のチューナーを選ぶ方が良いように思う。残念ながら筆者自身は決定版といえるような製品に出会っていない。

 PC本体のデザインを含む一体感やPCを起動せず(OSを立ち上げず)にテレビを使えるか否かなど、後付けと元々のテレビ内蔵PCには使いやすさに差もある。ただし、PC用チューナーには複数チューナーを接続し、PC用ハードディスクに大量の番組を同時記録する機能をサポートする製品もある。アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/XZ2」がそれだが、やはり信頼性は「レグザサーバー」などで丸ごと録画をするよりも落ちる印象だ。”テレビとPC、どちらの方が利用時間がどのぐらい長いのか”を自己分析して選ぶようにしたい。

アイ・オー・データ機器の「GV-MVP/XZ2」は、USB接続対応の外付け型筐体を採用した3波対応デジタルテレビチューナー。ハードウェアトランスコード機能を標準装備しており、最大15倍の長時間録画に対応している。対応OSはWindows XP(SP2以降)/Vista/7。価格は1万5700円

 さて製品に関しては、先週、既にいくつかを紹介しているので、別の切り口を最後に提示しておきたい。それは2004年に書いた「普段、小画面。時々、プロジェクター」というコラムの焼き直しである。この頃、大画面の50インチテレビは高嶺の花だった。そこで情報の窓としてのテレビと、プレミアム映像を楽しむプロジェクターでメリハリを付けてはどうだろう、との提案を行ったのが、くだんのコラムだった。

 この考え方は、新生活での映像機器を考える上でも有効ではないだろうか。

 情報の窓としての”テレビ”はお手軽に済ませ、+αのエンターテイメントは別の機器に任せる。人によっては、それがネットコンテンツかもしれないし、筆者ならば映画やコンサートのBlu-ray Disc(あるいは録画)だ。+α部分は新生活における自分のライフスタイルを見極めてから判断してもいいのでは?

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