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Android搭載STBを提供、マルチスクリーンへひた走る「ひかりTV」AKB48も継続

» 2012年04月09日 19時02分 公開
[ITmedia]

 NTTぷららは4月9日、2012年の事業説明会を開催し、今後のサービス戦略を発表した。スマートフォン、タブレット連携などマルチスクリーン戦略を強化するほか、Android搭載の高機能セットトップボックス(STB)を提供する予定も明らかにした。

発表会にはAKB48のメンバーも駆けつけた。左から横山由依さん、NTTぷららの板東浩二社長、峰岸みなみさん、梅田彩佳さん

 NTTぷららの板東浩二社長はまず、ひかりTVの会員が2012年3月末で200万件を達成したことを報告。とくに2011年度は約60万件の純増と過去最高の伸びを記録したという。同社はIP再送信によるデジタル多チャンネル放送と、同じくIPによるVOD(ビデオ・オン・デマンド)を中心に提供しており、会員も半数が多チャンネル放送、残りがVODユーザーとなっている。

 多チャンネル放送は、現在地上デジタル放送やBSデジタル放送の再送信を含めて96チャンネル。このうち64チャンネルがハイビジョンに対応しており、「HD比率は76%と業界最大級」(同氏)。一方のVODも2011年度末時点で月間の視聴回数が総計2400万回に上るなど好調を維持している。

マルチスクリーンを強化、電子書籍や音楽配信も展開

 2012年の主な取り組みとしては、「スマートフォンやタブレットを含むマルチスクリーンサービスの確立」を挙げる。2012年第1四半期から、スマホやタブレットで“見放題サービス”以外のビデオ作品をPPVで視聴できる「ペイパービュー個別購入機能」を提供するほか、映像コンテンツを端末にダウンロードして持ち運び、移動中などでも安定した映像を視聴できる「ダウンロードレンタル機能」を年度内にスタート。また第4四半期を目標として、PC向けの映像配信も開始する。

サービスロードマップ(左)。「スマートリモコン機能」のデモ(右)

 スマートフォンやタブレット端末をリモコンにする「スマートリモコン機能」では、端末の持つ音声認識機能などを利用してビデオ作品の検索が可能になる。単なる無線リモコンとして使うのではなく、クラウド経由で専用チューナーを操作するためTwitter連携やレコメンドの表示など、高度な連携が可能になるという。こちらは第2四半期中に開始する予定だ。

 またその前段階として、4月中にVODコンテンツを視聴したユーザーがレビューやレーティングを行う機能を提供。またひかりTVショッピングのユーザーインタフェース改善、プロ野球中継のTwitter連携の本格展開も予定している。「昨年は、プロ野球中継を視聴しているときに4人に1人がDボタンを押した(Twitter連動画面を表示)。また事後のアンケート調査では、70%以上の方が“興味ある”“続けてほしい”と回答している」(同氏)。

VOD作品に対して視聴者の意見や評価を掲載する「レーティング、レビュー、レコメンド機能」は4月スタート。レーティングだけならリモコンで簡単。またタイトルやジャンル、あらすじなど番組情報が近い作品を紹介するレコメンド機能も搭載。画面下に5つピックアップする

「ひかりTVショッピング」は、現在のBMLベールからHTMLベースに変更。レスポンスが早くなるほか、BGMが付く。4月中に提供される予定だ

昨年、プロ野球中継で好評だったTwitter連動機能を拡充。ひかりTVチャンネルで5月以降に放映するパ・リーグ全試合で対応する計画だ

 さらに、2012年度下期を目標として、電子書籍や音楽、ゲームの配信サービスを開始するという。こちらも基本的に月額固定料金で使い放題とする方針。なお、電子書籍については、テレビのユーザーを抱えている強みを生かし、絵本などビジュアルの多いコンテンツに注力することで差別化を図るという。「サービスの競争力は3つ。サービス自体の内容と料金、操作性のバランスだ。総合的に競争力が出せるように考えていきたい」(同氏)。

BDレコーダーに匹敵する? Android搭載のSTBが登場

 ハードウェアの目玉は、第3四半期を目標に提供するというAndroid搭載の高機能STBだ。3チューナーとUSB外付けHDD録画機能を搭載し、IP再送信の放送番組を視聴しながら裏番組の2チャンネル同時録画が可能。SDカードを使って録画番組を持ち出したり、DLNA/DTCP-IPによる宅内視聴、NASやBlu-ray DiscレコーダーへのDTCP-IPダビングなど、イマドキのBDレコーダーに迫る機能を持つ。

 一方、VODコンテンツではスマホ/タブレット端末との高度な連携が可能。例えばスマホで視聴中のコンテンツをフリック操作でテレビに映し出したり、逆にテレビで見ていた映画を同じくフリック操作でスマホに映し、外出するといった操作に対応する。「表示切り替えではレジュームにも対応させる。また外出時の利便性を考えてストリーミングだけでなく、コンテンツのダウンロードも検討している」。

 もちろん独自アプリを含む各種アプリを追加できる。これには前述の電子書籍やゲーム、音楽配信サービスなども含まれる見込み。STBには8Gバイトのストレージが内蔵され、この一部をユーザーエリアとしてアプリやダウンロードデータの保存に利用できるという。

Android搭載STBの概要(左)。電子書籍や音楽の配信サービスも展開(右)

 「ハードウェアの処理能力は現在の10倍。電子番組表やビデオ一覧まどを高速に表示できるほか、HTML 5ブラウザも搭載する。使い勝手ははるかに良くなると思う」(板東氏)。無線方式のリモコンもレスポンスの向上に一役買うという。

 このほか、STBの前後に1つずつあるUSBポートを活用し、録画に加えてWebカメラを使ったセキュリティ機能なども検討中。天板にはAndroidスマートフォンとの“ひも付け”(Web ID)が簡単に行えるRFIDタグを装備。ほかにHDMI出力、コンポジット、光デジタル音声出力、LAN端子などを備える。本体サイズは未公開ながら、現行チューナーよりも少し大きめになる見込みだ。

AKB48の独自コンテンツは継続

 コンテンツに関しては、4月10日から基本放送チャンネルに「Dlife HD」「FOX bs238」を追加し、4月1日にスタートした「ゴルフネットワーク HD」を含め、全96チャンネルとする。このうち73チャンネルがハイビジョンだ。

 一方、独自制作のコンテンツとして、AKB48のコント「びみょ〜」に続く第2弾を計画中。「昨年のAKB48のコント番組が好評で、ずいぶんユーザー獲得に貢献してくれた」(板東社長)。さらに、ジュピターゴルフネットワークとの番組共同制作や、FOXインターナショナル・チャンネルズと共同で映画を制作することも発表した。

AKB48の第2弾を計画中(左)


 NTTぷららでは、コンテンツとサービスの両面を強化し、2012年度に50万契約の上乗せを目指す。「200万会員の顧客基板をベースにあたらしいサービスを積極的に展開することで、2012年度末に255万会員を目指す」(板東社長)。

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