単板式を採用したことにより、映像は多少暗くなるものの、カメラの取り回しは格段に楽になった。重量は約4キログラムと従来の1/5以下。また小型化によって一眼レフカメラ用の35mmレンズがそのまま利用できたり、三脚を従来のように特別に作る必要がないといったメリットもある。消費電力も45ワットと大幅に削減されており、撮影時の機動力アップに貢献するはずだ。
ただし、“カメラヘッド”という通り、展示機には信号処理や光ケーブルのインタフェースを担当する「CCU」(カメラ・コントロール・ユニット)などは含まれていない(それでもニュースなどの撮影には使えるという)。今後は専用のCCUを開発し、画質や機能の改善を図る予定だ。
スーパーハイビジョンでは、22.2チャンネルのサウンドも大きな魅力だ。今回の展示では、その音響を来場者が体験できるデモンストレーションが用意されているほか、22.2チャンネルのコンテンツ制作を効率よく制作するための技術を見ることができる。例えば22方向の音をワンポイントで集音できる小型マイクロフォン。また頭部伝達関数を用いて22.2チャンネルサウンドをヘッドフォンで再生できるプロセッサーも展示していた。
このほか、AVC/H.264方式の2倍という圧縮性能を目指して標準化が進められている次世代符号化方式「HEVC」のリアルタイムエンコーダーや、地上波2チャンネル分の帯域だけでSHVを伝送する大容量伝送技術、同じく既存のケーブルテレビ網を使ってSHV放送を実現する伝送技術、衛星中継を想定した21GHz帯衛星伝送技術なども展示されている。現在はまだ実用化に向けた技術開発のフェーズだが、毎年着実に進歩しているSHV。技研公開でぜひ体験してほしい。
NHK放送技術研究所の一般公開は、5月24(木)から27日(日)まで。開場時間は10時〜17時となっている。入場は無料だ。
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