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大画面との“出会い”を演出、シャープ「AQUOS GL7/G7ライン」の販売戦略

» 2012年07月06日 21時28分 公開
[ITmedia]

 テレビ販売の不振が伝えられて久しいが、家電メーカー各社はそれぞれのアプローチで切り抜けようとしている。70V型や80V型といった大画面液晶テレビに注力するシャープは7月6日、春に発表した“AQUOSクアトロン”「GL7/G7ライン」の販売戦略を改めて語った。

シャープ、国内AV営業部長の居石勘資氏

 「アナログ停波以降、薄型テレビの販売は前年割れが続いている。しかし、50V型以上の大型機はむしろ拡大しており、中でも60V型以上は大きく伸長している」(シャープ国内営業統括兼国内AV営業部長の居石勘資氏)。

 シャープがターゲットに据えているのは、2003年〜2006年度に初期の薄型テレビを購入したユーザー。は37型以上が累計376万台も販売されており、今後は買い替え需要が本格化すると見ている。

 また、もう1つの“埋もれたターゲット”として紹介されたのが、2010年〜2011年にエコポイント需要で慌ててデジタルテレビを購入したものの、『もっと大きなテレビを買っておけばよかった』と後悔している人だ。そうしたユーザーは、リビングルーム向けに新しい大型テレビを購入し、先に買ったテレビは寝室などに移動する、いわば「家の中で置き換えが起きている」(同氏)という。

 ただし、アナログ停波を境に家電店のテレビコーナー自体に人があまり居ないことも事実だ。そのためシャープでは、いくつかの方策を検討して販売店に提案している。例えば、「テレビ売り場以外に“大画面との出会いの場”を作ること」。エントランスやエレベーターホールなど人の通る場所にGシリーズを展示し、まずは大きさで注目を集める手法だ。

 また、画面サイズの異なる薄型テレビを並べ、サッカーなどスポーツ番組を上映しておく。来客を徐々に大きな画面へ誘導し、その迫力の違いを体験してもらうといった具合だ。店内にスペースの余裕があれば、6〜8畳間のリビングルームのような空間を作り、ソファーにゆったりと座った状態で“AQUOSブルーレイ”などの機器連携やスマート機能を体験してもらう。

リビング風展示の例(左)

 テレビを多く並べられる壁際には、80V型を挟む形で70V型、60V型を設置する。スポーツ大会の表彰台を思わせる配置は、いわばテレビの“松竹梅”。梅であっても60V型という配置により、「“もう60V型以上が当たり前”と実感してもらう」。また、USB外付けHDDやネット接続などの環境を整え、すべての実力を見てもらえる展示にすることも重要だという。

 もう1つ重要なポイントは接客場所だ。「説明員は、ついつい画面の近くで接客しがちだが、逆に近すぎて『こんなに大きな画面はいらない』といわれてしまう。例えば60V型なら最適視聴距離は2.25メートル。これは同時に最適な接客距離でもあることを紹介していきたい」。

BIG&Smartな高付加価値モデル

 6月に発売したGL7/G7ラインは、“BIG&Smart”をコンセプトに、40V型から80V型までの6サイズをラインアップ(→関連記事)。アイコンなどのビジュアルを多用した新しいUI(ユーザーインタフェース)「ビジュアルモーションガイド」は、テレビ放送とネットサービスを行き来できるとともに、ユーザーにレコメンドする機能に力を入れている点が特長だ。

GL7/G7ラインと「ビジュアルモーションガイド」

 例えば、「おすすめ未来番組」は、ユーザーが予め登録したキーワードにヒットした番組を推薦。また「おすすめ選局ナビ」は、過去の視聴履歴やネット情報をもとに、ユーザーの好みに合いそうな番組をナビゲーションする。VoD(TSUTAYA TV、T's TV、ひかりTV)の人気コンテンツをランキング形式で紹介する機能もある。

 「放送系のコンテンツだけでなく、インターネット系のコンテンツもいかに楽しむかがスマート。ネットにはEPGのようなものがないため、Gシリーズでは新しい番組と出会うための“気づき”のエンターテインメントを進めていく」(同社)。

 なお、大画面化で気になる消費電力については、「80V型でも198ワット。これは5年前の42V型と同等だ」としている。

番組に登場した商品をすぐにピックアップ

 クラウドサービスの一環として提供されているスマホ(Android向け)アプリ「おしえてリモコン」も改めて紹介。おしえてリモコンは、放送中の番組に関する“つぶやき”を集計してグラフ表示することで番組に対する注目度が分かるアプリ。もちろん、つぶやきをスマホ画面で確認できるほか、自ら投稿することも可能だ。気になる番組を見つけたらタップしてAQUOSのチャンネルを変えられる。「これまでのテレビ視聴は、番組表やザッピングで見たいテレビ番組を探していた。今後は今まさに盛り上がっている番組を選択できる」。

 番組に登場した商品をピックアップし、ECサイトから購入できる機能も用意した。「いわゆるテレビショッピングではない。商品データは提携企業が提供するもので、リアルタイムにテレビ放送をチェックして手入力している」。このため、放送から少しタイムラグは生じるものの、例えば番組に登場したホテルの予約など、視聴者が本当に気になったものを購入できるという。

ピンク色や黄色の横棒が盛り上がりを示す。これは、SNSの投稿数をシャープ独自の指標で算出したもの(左)。番組に登場した商品の購入も可能

 BIG&Smartを掲げ、ネットコンテンツをも取り込める高付加価値モデルを訴求するシャープ。「最新の情報通信白書によると、やはりテレビは9割以上の人が情報を得るナンバーワンメディアである。またインターネットも6割を超える人の大切な情報源になった。クラウドサービスと家庭内のAQUOSを融合させることで、新しい価値を提供していきたい」。

型番 LC-80GL7 LC-70GL7 LC-60G7 LC-52G7 LC-46G7 LC-40G7
画面サイズ 80V型 70V型 60V型 52V型 46V型 40V型
バックライト 直下型LED エッジ型LED
チューナー 地上デジタル×3、BS/CS110度×2
録画機能 USB外付けHDD録画対応(2番組同時録画、1番組視聴)
入力端子 HDMI×4、D5、コンポジット、アナログRGB、USB×3、LANなど
実売想定価格 95万円前後 65万円前後 35万円前後 28万円前後 23万円前後 16万円前後
発売時期 販売中

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