最優秀作品賞(1名)
「どこに行くの?」
審査員 荻窪氏 評
一見普通の写真だけど、じっと見てると情景が伝わってくる。おじいちゃんは昔ながらのぼくとつな人だ。遊びに来た孫を、背負い慣れたカゴにいれて散歩に行くとき、声をかけられて思わず振り向いたのだ。そんな何気ない構図で何気なくストロボを焚いて、この何気なさはそう撮れるもんじゃない。これはよい写真である。
審査員 池本さん 評
「ほほえましい」を絵に描いたようですね。普段あまり喜怒哀楽の感情をあらわにしなさそうなお親爺様が、お孫さんと一緒に和んで笑顔をほころばせている、実は滅多に撮れないシーンだったりするのでは?! 2人の目線と目元が同じ、なのがこちらまで笑顔にさせますね。
審査員 永山氏 評
フルオートで撮影された、技術的にはごく平凡な写真です。また、2人がすごくいい表情をしたシャッターチャンスというほどでもありません。ただそれでも、作為的ではない作者の自然なまなざしには好印象を受けます。家族だから撮れた作品といえるかもしれません。
優秀作品賞(2名)
「アクションペインティング?」
審査員 永山氏 評
このフォトコン用に新規に撮影した作品ではないようですが、「自慢の一枚」というテーマでこのカットを選んだセンスと、そもそもこれを撮影した発想のユニークさに惹かれます。
審査員 荻窪氏 評
最優秀作品とは対照的すぎるのだが、単なる積年の油汚れをわざわざ一眼レフでモノクロでちゃんと真上から残しておこうという眼差しが素晴らしい。写真のキモはやはりその人の眼差しであると思う。
審査員 池本さん 評
本当に墨絵の現代アートかと思いました。こういう「写真に撮ったら別のものになった」という面白い作品は、視点のもち方が豊かな証拠。構図も、ちゃんと意図が伝わるし、タイトルもGOOD!
「手のりトンボ」
審査員 池本さん 評
スゴイ……大自然とコラボレーションですね! トンボさんたちも、楽しそうではないですか。左手で、とは頑張りましたね。背景(露出)がもう少し明るく、光がドラマチックであったら、最優秀賞だったかも。
審査員 永山氏 評
偶然なのか、狙い通りなのかは分かりませんが、2匹が指に乗った瞬間には、写真に撮って人に自慢したいと感じたはずです。その気持ちがストレートに伝わり、見て楽しくなる写真です。
審査員 荻窪氏 評
トンボが2匹止まったぜ、というVサインを日本海に突きだした気持ちがわかる。それを左手1本で一眼レフっ。無茶な撮影ながらピントもぎりぎりきてるし、おかげで臨場感があふれてる。写真は面白い。
佳作
「Oh,My God!!」
審査員 池本さん 評
何度見ても、笑ってしまいます。それだけ彼女の表情のピークをばっちり捉えてある吸引力のある、作品だということです。こうやって、ヒトは皆、世の中のことを体感しつつ、成長していくのでしょうね。
「つい。。」
審査員 荻窪氏 評
猫写真はたくさん送られてきたけど、猫らしくて気に入ったのがこれ。猫ってときどき画面に反応しちゃうのだ。それが雪だったのもシルエットにしちゃったのもブラボーであります。
「カメとカメラ」
審査員 永山氏 評
コンパクトデジカメを使用していますが、シャッターチャンスをタイミングよくとらえ、見ごたえのある水中スナップになりました。水中写真が得意な池本審査員も認める佳作です。
入選
「紅と錦」
審査員 永山氏 評
作者のコメントにある通り、異なる場所にあるお宝が交わった決定的なシーンをとらえています。ほかにも数多く応募があった紅葉写真の中では、視点が最も斬新な1枚といえます。
「ボーリング」
審査員 荻窪氏 評
コメントがないので詳細はわからないが、現代的なインパクトがある写真。「広いボーリング場にたったひとり」を10mmの広角レンズが強調してて、ポーズも無駄に決まってる。こういう写真は大好き。巧い。
「どこからでもかかってきなさい」
審査員 池本さん 評
ウン、頼もしい! 勇ましい! アングル、光と奥行きから、とても大きな生き物に見えますね。とても威厳があって誇り高く、存在感たっぷりな様子、上手く捉えられていると思います。風の吹いてきたタイミングもばっちり!
永山 昌克氏(カメラマン)
プロカメラマン。1966年大阪生まれ。広告スタジオ、出版社勤務を経て独立。年間60日ほど中国に滞在し、各地の人や街をテーマに写真を撮り続ける。その一方、デジタルカメラや写真撮影に関する記事を多数執筆。近著に「Adobe Photoshop Lightroomマスターブック」(マイコミ刊)。
荻窪 圭氏(カメラマン兼ライター)
カメラマン兼ライター。80年代後半よりパソコン誌を中心にライターとして活躍。「日本カメラ(日本カメラ社)」「デジタルフォト(ソフトバンク クリエイティブ社)」など各誌にて記事を執筆中。ITmediaの看板ライターの1人であり、LifeStyleチャンネル「今日から始めるデジカメ撮影術」やMobileチャンネル「荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ」などの連載を担当。
池本さやかさん(カメラマン)
東京外国語大学、地域研究研究科修了/朝日新聞社写真部勤務後、水中写真家中村征夫氏に師事/1995年よりフリーランス。2000年〜2002年フランスに滞在、帰国後、写真展や講師の他、雑誌の連載、写真コンテストの審査員など、フリーの写真家として多方面に活動中。
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