503iの「速さ」をベンチマークテスト──意外な速度差が

Javaが組み込まれた503iは,より情報機器に近い携帯といえる。それだけに,情報を処理する速度が,機種を選定する上で1つの基準になりそうだ。

【国内記事】 2001年2月1日更新

503iの速さを決めるパラメータ

 テストを実行するに当たって,503iが実装しているJavaの速度とは何かを考えてみた。おそらく次の3点が,ユーザーにとって速さや遅さを実感させるポイントになりそうだ。

・グラフィック
 今のところゲームで多用されているため,最も気になる部分といえるかもしれない。

・UIコンポーネント
 ユーザーが直接に操作するテキストボックスやボタン,リストボックスなどのユーザーインタフェースを構成するコンポーネントの速さは,ユーザーが直接に操作する部分だけに速さ遅さを感じさせる決定的な要因になりそうだ。

・CPU and JavaVM
 そして最後が,搭載されているCPUとJavaVMの性能だろう。CPUの性能もさることながら,iアプリはJavaなので仮想機(JavaVM)上で動く。そのためJavaVM自体の性能も大きな要素になってきそうだ。

 上記3点をチェックする簡単なテストツールを作成したが,UIコンポーネントに関しては予想していた通りの現象が発生したため,結局は除外せざるを得なかった。現行2機種のUIコンポーネントの挙動に差が大きいのである。

 たとえば,「P503i」ではリストボックスのアイテムをselect()メソッドを使って選択すると,選択したアイテムが表示領域に来るようにスクロール動作を行う。一方,「F503i」ではselect()で選択してもスクロール動作は行わない,という違いがある。

 両者の違いは重大なものではないので,通常のオペレーションではあまり問題にならないが,ベンチマークではスクロールを行わない「F503i」が圧倒的に優位になる。“スクロール動作が省略されていることも速さのうち”という判断もあるだろうが,今回は公平を欠くという観点からUIコンポーネントのテストは中止した。

 また,上記3点のほかにも,iアプリのローカルストレージに相当するスクラッチパッドの速度差などが考えられるが,それがユーザーにどういう影響を与えるか分からないため今回はテストを行っていない。

テスト結果

 使用したベンチマーク(MobileBenchバージョン1.5)では,次の2つのテストを行っている。

・テスト1〜グラフィックの描画,グラフィックの消去
 GraphicsオブジェクトのdrawString(),drawRect()を使用した描画と,clearRect()でのグラフィックの消去を繰り返し,処理に掛かる時間を計測した。

・テスト2〜エラトステネスのふるい
 0〜999の間にある素数を,エラトステネスのふるいと呼ばれる古典的でシンプルなアルゴリズムを使ってリストアップし,その時間を計る。エラトステネスのふるいはシンプルすぎ,PCではもはやベンチマークとしての意味を持たないが,2重ループ,足し算,掛け算,そして配列アクセスという要素があるので携帯のCPU+JavaVMのベンチとしては意味がある。

画像

テスト結果

P503i
テスト1平均タイム 15460ms
テスト2平均タイム 640ms
ベンチマークスコア 120

F503i
テスト1平均タイム 6410ms
テスト2平均タイム 240ms
ベンチマークスコア 299

 テスト結果に示すように,現行2機種ではF503iが圧勝という形になっている。

 また,CPUやJavaVMのテストであるエラトステネスふるいとグラフィックの速度には強い相関関係がありそうだが,これはある意味で当然かもしれない。PCとは違い,携帯電話にはグラフィックアクセラレータなどが組み込まれているわけではないため,CPUの性能がすべてを支配するだろうと考えられるからだ。

 いずれにしても,現行2機種だけでは,何ともいえないところがある。今後の新機種の様子を見つつ,ベンチマークソフトのバージョンアップを図り,機種間の性能差を明らかにしていくつもりだ。

 なお,使用したベンチマークはhttp://gadget.mda.or.jp/i/ibench.htmlからダウンロードできるので興味がある方は試していただきたい。

[米田聡,ITmedia]

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