PalmSource Tokyo開幕──ARMベースのPalm OSをデモ

Palm OSは,4.0となって「拡張性」と「ワイヤレス」を手に入れる。さまざまな機能を付加してくれるSDカードとWebClippingサービスを武器に,Palm OSはさらに大きく進化しようとしている。

【国内記事】 2001年2月14日更新

 2月14日,Palm OSの開発者向け会議「PalmSource Forum Tokyo 2001が都内のホテルで開幕した。初日の基調講演では,PalmのCOOであるAlan Kessler氏がPalm OSの強さと将来展望を語った。

 「現在,北米,欧州,アジアでシェアNo.1」と語るKessler氏だが,今後もPalmの攻勢は緩むことがない。今後は拡張性やワイヤレス機能を搭載し,データだけでなく音声もサポートしていく。Kessler氏は「インターネットの将来はハンドヘルド」と語り,Palmファミリーと“Palm Powered”のブランドで「モバイルインターネットのリーダー」を目指すという方向性を示した。

Palmの将来は拡張性とワイヤレス

 今後のPalmの進化は「拡張性」と「ワイヤレス」だ。Kessler氏が講演中に比較対象として挙げた「PocketPC」搭載機と異なり,Palm自身が発売しているデバイスには,未だにポピュラーな拡張スロットは搭載されていない。

 Palm OSは,発売中のVisorのSpringboardモジュール,CLIEのメモリースティックとともに,SDカードをサポートする。Palm自身もSDカードを挿入できるPalmデバイスを発売する予定だ。単なるストレージとしてではなく,SDカードがもたらすI/O機能への期待は高い。実際の商品化はこれからだが,SDカード型のBluetoothモジュールやMP3プレーヤー,GPSユニットなどの開発が予定されている。

 今後,ワイヤレス機能は情報端末の要となっていく。米国は無線機能を内蔵した「Palm VII」が販売中だが,日本での展開はこれから。日本では,ネットワークにアクセスできるPalmを春ごろに投入する予定だ。

 Kessler氏は,Palm VIIなどで利用するWebClippingの特徴を次のように語る。ユーザーは,WebClipping機能を用いてPalm用に再構築されたWebサイトを閲覧できる。「デスクトップとワイヤレスのユーザーは異なる」(Kessler氏)ために,WebClippingはハンドヘルドのディスプレイ用に最適化される。ただしHTMLベースであり,PC用のWebやiモードサイトからの変換も容易だという。

 ワイヤレスのもう1つの軸はBluetoothだ。会場ではBluetoothを内蔵した2台のPalmを使い,戦闘機の対戦ゲームを陽気に遊んでみせるというデモンストレーションが行われた。

日本語のWebClippingアプリケーションの例

エミュレータ上で動作しているPalm OS 4.0。「カード情報」などのアイコンも見える

ARMプロセッサでのデモンストレーションも

 Palmは対応するCPUを,これまでのMotorolaのDragonBallプロセッサから,PocketPC搭載機などが採用しているARMプロセッサに移行していく予定だ。

 講演では,ARMプロセッサを搭載した評価ボードで,Palm OSを動作させるデモンストレーションも行われた。さらに,過去のPalmの資産を生かすために,DragonBallの命令セットである68Kのエミュレータも動作するという。実際に「Pocket Chess」を起動させて見せ,「(エミュレータだが)これまでより高速に動作する」と,この段階ながら完成度は高い。

 ARMプロセッサで動作するPalm OSがリリースされるのは2002年の予定だ。にもかかわらずこの段階でデモンストレーションを行うのは,「デベロッパーを重要だと認識しているため」だという。

Palm,「日本で51%のシェア」

 続いて講演を行ったパームコンピューティング社長のCraig Will氏は,「Palmは日本の情報携帯端末で51%のシェアを持っている」と好調さをアピール。2001年は,Palm OS 4.0の日本語ベータ版に続き,WebClippingへの対応,SDカードへの対応など,国内でもPalmは大きく進化していく。

 講演には,ジャストシステムの浮川和宣社長も登場し,開発途中のPalm OS 4.0対応の「ATOK Pocket」を動作させてみせた。Palm OS 4.0にいち早く対応するATOKは,今後,推測変換機能も搭載していくという。

 「今後(PCだけでなく)携帯電話や携帯情報端末にも搭載して,ATOKをインターネットの情報の窓口としていく」(浮川氏)

モバイルインターネットのリーダーへ

 Palm OSは4.0の導入とともに,“拡張性”と“ワイヤレス”を武器に,“モバイルインターネットのリーダーへ”向けて進んでいく。これは,「シンプルなことが良いことだ」と説明し,「Windows CEはPDAの本質を分かっていない」と語っていた以前のPalmとは異なった戦略にも聞こえる。

 Palm OSが機能強化にやっきになる理由の1つは,携帯情報端末でもリッチな機能を搭載できるだけの技術が発達したということ。そして,何よりも,Palmがより大きな市場を狙い始めたということだ。それはビジネス市場と教育分野である。

 Palmの最高マーケティング先任者であるSatjiv Chahil氏は「40%のPalmが企業によって購入されている」と述べ,ビジネスでもPalmを強調。さらに「立教大学がPalmを使った環境を構築した」とも言う。今年もPalmの快進撃は続くのだろうか。

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[斎藤健二,ITmedia]

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