QualcommのBREWはiアプリを超えるか?Qualcommが提唱する,CやC++言語で記述できる携帯電話向けプラットフォーム「BREW」が姿を現してきた。
3月15日,都内で行われたMobile Contents Forum(MCF)のセミナーで,クアルコムジャパンのビジネス開発マネージャーの野崎孝幸氏が「BREW」について講演した。 米Qualcommは,1月31日にCやC++言語で記述でき,Javaに比べて高パフォーマンスなプラットフォーム「BREW」を発表している(1月31日の記事参照)。野崎氏は,「iモードの2000万人は驚異だが,全世界での(利用者の)数のほうが重要」と,“全世界のcdmaOne”という潜在的プラットフォームを持つBREWに自信を見せる。 Qualcommは,cdmaOneのライセンスやcdmaOneのベースバンドチップを提供しているメーカー。現在,cdmanOne端末の9割前後はQualcomm製のチップを使っている。 次世代携帯電話の目玉は,動画ではない?野崎氏は冒頭,次世代携帯電話に対するエンドユーザーの期待に関して次のように語った。「IMT-2000というと,とにかく動画と言う人が多いが,実は地図情報に対する期待が大きい」。これは,2000年9月に行われた調査に基づくもの。
続けて,Qualcommでは既に位置情報を利用できるチップ「gpsOne」を出荷済みであることを明らかにした。各社のPHSなどでは,どの基地局と通信しているかで位置を割り出している。しかし,gpsOneではGPS衛星も利用するという。 実はcdmaOneの基地局には全てGPSのアンテナが付いている。GPSからの電波を使い,端末と時刻の同期を取っているのだという。このため,gpsOneでは「(端末から)GPSが見えなくても,基地局からの電波が入るところなら三角測量などが可能になる」(野崎氏)という。 位置情報のほかにも,音楽と画像と文字を同期する「CMX(Compact Media Extension)」などの機能が,既にQualcommのチップには搭載されている。「カラオケを実現しているのがCMX機能」(野崎氏) 位置情報などもBREWから利用可能これらの機能をサードパーティがアプリケーションを作成する際に利用できるようになる,それがBREWのメリットの1つだと野崎氏は言う。「特に位置情報は大きな武器だろう」(野崎氏)
Javaの仮想マシンでも,チップが提供する機能をJavaから利用しようと思ったら,JavaVMがその機能をサポートするのを待つか,無理やりチップにアクセスするしかない。 BREWでは,Qualcommのチップに特化することで,新機能に対するAPIをいち早く提供できる。当然,Javaに比べて高パフォーマンスだというメリットもある。 Javaの開発者は多くても,携帯電話のようにリソースが少ないデバイス上のプログラミングをしたことのある技術者は少ないのではないかと,野崎氏は指摘する。 「携帯上ではJavaだけでいいのか? 慣れ親しんだ(CやC++などの)環境があってもいいのでは」(野崎氏) もちろん,BREWではJavaも利用できる。「Hewlett-Packardが,BREW上にJavaVMを載せている」(野崎氏) iアプリか? BREWか?携帯電話上のアプリケーションのオープンプラットフォームとしては,現在NTTドコモの「iアプリ」が最大のものだろう。しかし,日本でも年内にはBREWを搭載した携帯電話が出てくる見込みだ。 JavaVMを使ったプラットフォームは,ドコモ以外にも,J-フォン,KDDIともに投入を予定している。しかし,Qualcomm製チップを積んだ端末を使っているユーザー数は,全世界で7000万人前後。「米国で作ったアプリを日本の端末で動かせる」(野崎氏)ことが,BREWの優位点だ。 携帯電話上のプラットフォーム競争は,まだやっと始まったばかり。BREWのSDKは5月の配布を目指して開発中だ。日本語版も提供されるという。 関連記事 [斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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