PHSの知られざる活用法(番外編1)「シグマリオンで“フレッツ・PHS”接続ができないプロバイダー」フレッツ・ISDNを使っているユーザーは,ワイヤレスTAとPHSデータカードを利用することで,PDAも常時接続の仲間に入れられる。しかし,プロバイダーによってはサポートされていない場合もある。
3月14日の記事で,ワイヤレスTAのNEC「Aterm IWX70」と,OSモードで内線登録された「P-in Comp@ct」を介して,PDAをフレッツ・ISDNに常時接続する方法を紹介した。そのなかで具体的に接続に用いたPDAとして,ザウルスとシグマリオンを挙げた。 ところが,その記事をお読みになった読者の方から,同様の構成で,シグマリオンを使ってプロバイダーに接続できない事例があるとのご指摘をいただいた。 Windows CE FANの掲示板でもそのような事例の報告が相次いでいるようだ。筆者の使用している環境では問題なく接続できたわけだが,必ずしも全ての環境でうまくいくわけではないらしい。 認証方式の違いに注意結論からいうと,これはP-in Comp@ctやAterm IWX70のせいではなく,一部のプロバイダーがフレッツ・ISDNとの間で取っている認証方式に,シグマリオンが対応していないことに原因があるようだ。 一部のプロバイダーはフレッツ・ISDNのID,パスワードを認証する際,CHAPもしくはPAPのいずれかの認証方式を用いている。 多くのプロバイダーはCHAP,PAPどちらの認証方式も可としているが,一部にPAP認証のみとしているプロバイダーがある。一方シグマリオンが対応している認証方式は,CHAPのみのようだ。接続がうまくいかないのはここに原因がある。 マイクロソフトのWindows CEのWebサイトを一巡した限りでは明確な記述がないが,Windows CE 3.0以前のH/PCは,PPP接続手順の際の認証方式で対応するのはCHAPのみ。PAPには対応していないようだ。シグマリオンに搭載されたWindows CEのバージョンは2.11であるから,PAP認証には未対応であると考えられる。 PAP,CHAPは,ともにPPP接続でID,パスワードを交換する際の認証プロトコルだ。PAPはパスワードを平文のまま送信するのに対し,CHAPではパスワードを暗号化して送信する。このため,CHAPのほうが一般にはセキュリティが高い。ところがフレッツ・ISDNでは,認証にPAPしか使っていないプロバイダーがある。 フレッツ・ISDNでは,NTT東西地域会社が地域IP網の入口に用意したRAS(リモートアクセスサーバ)はCHAP,PAPどちらの方式でも認証を行なうが,地域IP網はその認証内容をそのままプロバイダー側に転送する。フレッツのサービスでは,プロバイダー側のサーバでユーザー情報を管理する形をとっている。この地域IP網とプロバイダーの間の認証方式を,PAPのみとしているプロバイダーがあるのだ。 この場合,CHAPのみでパスワードを送ってくるシグマリオンからの接続の要求に対して,PAPのみ対応のプロバイダーは認証を行えず,切断されることになってしまう。 筆者が前回の記事で接続に使用したプロバイダーは@nifty。ここはCHAP,PAP両方に対応しているため問題はない。しかしリムネット,ASAHIネットなどPAPにしか対応していないプロバイダーのユーザーは,シグマリオンをフレッツ・ISDNの定額接続の仲間に加えることが不可能だ。プロバイダーを変更するか,通常のノートPCなどでの接続に切り替えるしかない。 最近ではフレッツ・ISDN契約時にNTT東日本から送付される書類のなかに,プロバイダー一覧が同封されているようだ。そこにCHAP/PAP両対応なのか,PAPのみの対応なのか記載されているので,もし手元にあれば参考にしてほしい。なければプロバイダーに直接問い合わせるのがいいだろう。 ザウルスの場合は問題なしなお,同じ記事で紹介したザウルスの場合は,接続先のプロバイダーがPAPをとっていればPAPで,CHAPの場合はCHAPで接続する機能を持っているため,シグマリオンのような問題は起こらない。Windows 98/MeなどのPC用のOSでも,CHAPとPAPを切り替えられるので問題はない(ダイヤルアップネットワークで作成したアイコンのプロパティのなかの,セキュリティの「暗号化パスワードを使う」のチェック項目で切り替える)。 シグマリオン以外で問題となっているマシンもある。Macintoshだ。どうやらMac OS標準添付のリモートアクセスも,PAP認証をサポートしていないようだ。Macの場合はフリーソフトのFreePPPを使用することが必要になる。Macintoshの場合は,ユーザー数が多いため,NTTのフレッツ・ISDNのサイトおよびアップルのサイトで,正式情報として説明されている。 以上,記事内容に関する補足としたい。今回は,いわば特殊な製品をいくつか組み合わせた形であり,製品の実装する仕様とサービスが要求する仕様の予期せぬ差に戸惑う形となってしまった。何も考えずスムーズに行くとは限らないのはやや残念だが,紹介した部分に注意すれば接続は可能である。 もし記事を読んでシグマリオンとP-in Comp@ct,それからAterm IWX70の組み合わせを購入したくなった方がいたら,上記を踏まえた上で試してみてほしい。 関連記事 [大水祐一,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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