オンラインショッピングも“ペン”で記入するだけ──Bluetooth対応「アノトペン」(1)モバイル環境におけるインタフェースの筆頭はやはりペンになるかもしれない。Bluetoothを搭載し,電子商取引のサービスまで提供してくれる“ペン”が発売間近だ。
メモ帳に書いた内容が自動的にメールやファクスに転送されたら,どんなに便利だろう。スウェーデンにあるAnotoが開発した「アノトペン」はその夢を現実のものにしてくれる。 新しいペン型入力装置の名前は「アノトペン」。アノトペンにはBluetooth通信ユニットが内蔵されており,ペンで紙に書いた内容がBluetoothを通してPCや携帯に転送される。
アノトペンの最大の特徴は,実はそこから先にある。転送されたストロークデータは,PC/携帯を介してインターネットに伝送され,さまざまなサービスに適用される。 例えば,「通販の申込書にアノトペンで記入すれば,携帯電話などを通じて通信が行われ,自動的に電子決済が完了する」などといったサービスを誰でも簡単に利用できるようになる。 このアノトペンは,ペン本体,さまざまな機能を持った専用紙「アノトペーパー」,そしてインターネットサービスが一体となって機能する。Anotoはその開発元/技術提供元として,世界中にこの技術をライセンスしたい考えだ。 コクヨ,パイロットから発売予定
実は,日本ではすでにコクヨから“アノトペーパー”対応製品が,パイロットからは“アノトペン”対応製品の発売が予定されている。Anotoのインターネットサービスが開始されるのが2002年度頃で,それに合わせて発売される見込みだ。当初の価格は1万円前後になるもよう。 日本での展開をより円滑に進めるために2000年12月,日本支社が設立された。CEOにはスウェーデン大使館の元科学技術参事官であったMats Bruzaeus氏が就任。日本の文具メーカー,用紙メーカーへのライセンスだけでなく,対応するインターネットサービスの準備も行うという。 アノトペンの歴史アノトペンは,多くの優れた技術が発祥する土地として有名なスウェーデンで誕生した。 Anotoの社長Christer Fahaeus氏は数学と物理学,そして神経生理学の学位を持つきわめて優秀な人物。そんな彼でさえ論文執筆時,膨大な文献や資料から必要な情報を集めるのに手間取り,いらだちを感じていたという。 そこでメモを取りながら,文章中の必要な部分をスキャンしてPCに転送できるデバイスの開発に着手したという。その技術を実用化するために1996年,入力デバイス開発のCTehnologies社を設立する。 この文字スキャン・ペンには2つの機能があった。まず1つは文字を認識する機能,もう1つはペンで描いた図形を認識する機能だった。これが後のアノトペンのルーツとなる。 Fahaeus氏はこのペン入力装置をより実用的に誰でも使える製品にするために,Bluetoothの技術を持つEricssonから出資を受けてAnoto社を設立した。出資比率はCTechnologiesが85%,Ericssonが15%となる。 申込用紙に記入するだけで注文処理が行われる!?アノトペンは,ごく普通のペンのようにキャップをはずして紙に書き,使い終わったらキャップを閉めて作業を終了する。電源のオン/オフや,認識処理,データ送信が自動的に行われる。キャップをしまえば電源オフといった感じだ。誰でも簡単に使うことができる。 アノトペーパーには,さまざまな機能が用意されていて,紙に書いた文字は単なるデータとして転送されるだけでなく,アノトペーパーの種類に応じてさまざまなサービスを受けられる仕組みになっている。 例えばアノトペーパーに対応した“通販申し込み用紙”の場合,欲しい商品の個数を記入し,名前や住所などの必要な情報をペンで書き込み,最後に「送信」と書かれた枠にチェック印を記入すると,自動的にその内容が通販会社に配信され決済が完了する。 これらを実現するには,そのアノトペーパーが通販会社の“申し込み用紙”であることを正しく判断し,記入欄に書かれた内容を正しく認識する必要がある。 果たしてアノトペンは,どうやって紙の種類や,書いている位置を認識しているのだろうか? 次回はその素晴らしき仕組みを紹介する。 関連記事 [増田(Maskin)真樹,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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