次世代ケータイを尻目にサービス拡大を続けるツーカー

本格普及に入るのはまだ数年先ながら話題ばかりが先行するIMT-2000に対して,現行のPDC方式のインフラを活用することで,ツーカーセルラーグループはコストメリットを追及する。

【国内記事】 2001年4月16日更新

 日産資本の携帯キャリアであったツーカーは,日産の携帯電話事業撤退と共にKDDIグループの一員となった。単独の携帯キャリアとして唯一次世代ケータイへの移行の道を閉ざされ,auとの統合時期の噂話ばかりが先行するツーカーだが,現状のインフラの活用に生き残りを掛けている。

すべてのユーザーが次世代を求めるわけではない

 間近に迫った次世代サービス,IMT-2000はNTTドコモが来月(2001年5月)にはFOMAブランドでサービスを開始する。高い通話品質と従来とは比較にならない高速データ通信を実現するIMT-2000だが,ツーカーセルラーグループはIMT-2000の免許を持たない。ツーカーはIMT-2000をどう捕らえているのか。

 「全てのユーザーが次世代サービスを必要とするとは思っていません。次世代サービスには莫大な投資が必要ですが,PDCはインフラ整備がほぼ完了した形ですから,これからはコストメリットを追求していけます。」(ツーカーセルラー東京)

 確かにIMT-2000ではほぼ一からネットワークを再構築するする必要があり,その投資は莫大な額になる。auでは2GHz帯を使用するIMT-2000に急速に移行するのではなく,現状のcdmaOne(800MHz帯)を拡張する形で次世代の移行を選択したが,この理由に「投資を小さくできる」ということを挙げている。

 コストメリットを追求できるなら,次世代サービスが始まってもあえてPDCを選択するユーザーは存在するだろう。次世代サービスに必要な莫大な投資は,当然基本料金,通話料金という形でユーザーに跳ね返らざるを得ない。

 次世代サービスの目玉となる高速データ通信だが,少なくとも文字が中心となる電話機単体でのインターネット接続に限れば,次世代サービスで実現される数百Kbpsというデータ通信速度が生きる場面は限られている。

 通話品質についてもツーカーは自信を持っている。もちろん突き詰めれば次世代サービスにかなわないだろうが,電話機の他基地局側にもノイズサプレス機能を持たせ,通話というレベルでは十分な品質を確保している(クリアボイス)。

ユーザー数が少ないほうが「つながる」「切れない」

 現状に限っていえば,あまりにもユーザーが多いNTTドコモに対し,ツーカーは同じPDCでありながら「つながる」「切れない」というメリットを持つのも事実。もちろん絶対ユーザー数が少ないという背景があってのものではあり,この品質を維持し続けるにはツーカーの努力も必要だ。

 ツーカーは現在でも通話エリアの拡大に力を入れているし,今後もこれは変わらない。他キャリアでは次世代サービスを開始すれば,おのずと現行のPDC方式の通話エリア拡大は優先順位が低くなるだろう。数年後にはPDCで通話エリアを拡大し続けているのはツーカーだけ,という可能性もあり得るのだ。

 次世代サービスでのみ実現されることはあるし,それを求めるユーザーもいる。しかし携帯電話はあくまで通話に使うというユーザーにとって,必ずしも次世代サービスが必要なわけではないし,ブラウザフォンとして見ても必ずしも次世代サービスが実現する高速なデータ通信速度が必須なわけでもない。ツーカーはここに生き残りを掛けることになるし,十分その道は開けているはずだ。

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[坪山博貴,ITmedia]

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