Bluetooth内蔵アノトペンの仕組みは?──「アノトペン」(2)Bluetoothを搭載し,電子商取引のサービスまで提供してくれる“ペン”が発売間近だ。ではどうやってペンで電子商取引が可能なのか? 今回はその謎に迫る。
Bluetooth対応の「アノトペン」を使うと,紙に書いた文字がデータとなってPCや携帯電話に伝送される。既に日本では,コクヨやパイロットが製品化の予定を立てている(4月13日の記事参照)。 たとえばアノトペンを使えば,オンラインショッピングの申し込み用紙に内容を記入し「申し込み」ボックスにチェック印を入れれば記入内容がBluetoothで送信され,自動的に決済処理が実行されるといったことが可能となる。 この機能を実現するには,アノトペンが記入した用紙が通販会社の申し込み用紙であることを判別し,記入欄に書かれた内容を正しく認識する必要がある。 アノトペンには,アノトペーパーという専用紙が必須で,この専用紙と共に使うことで初めて機能する。実はこの専用紙に仕掛けがしてあって,どの紙のどのページのどの部分に書いたかが分かるようになっている。 アノトペンの驚くべき仕組み「アノトペン」の仕掛けを明かそう。紙をルーペで拡大してみると,薄いインクで小さなドットが不揃いに並んでいる。アノトペンの先端に付いているカメラがこのドットをグリッドとして常に撮影してしている。このドットの軌跡から逆算して,筆跡を割り出し記録している。
アノトペンには36×36ピクセルのパターンを瞬時に解析するCPUが搭載されている。CPUの負荷については「とてもシンプルで軽い処理だ」(Anoto日本支社CEOのMats Bruzaeus氏)だという。残念ながら何のチップを使っているかは明かされなかった。 ペーパー1枚,1枚が独立したパターンを持つアノトペーパーに印刷されたドットは,ある数学的なパターンになっていて,同じ模様が印刷された紙はほかには存在しない。また,たとえアノトペーパーのごく一部分を取り上げても,同じドットパターンは存在しないようになっている。 なぜドットパターンが必要か? たとえばストロークだけを記録した場合,ペンを紙から離し,紙を移動させてしまえば,どんな図形を描いたのか分からなくなってしまう。そのために紙のどの部分にペンを走らせたのかを認識する必要があるのだ。もしドットパターンがユニークでない場合,“どの部分か”という判断ができなくなってしまうのだ。 「アノトペーパーのドットパターンは全体で460万キロ平方メートル,米国全土の約半分に匹敵するスペースを用意しています」とMats Bruzaeus氏は言う。A4サイズ相当の紙なら73兆枚相当に対応するとのこと。このパターンはメーカーに配分され,ペーパーがどのメーカーのものかも判断できるようになっている。 例えば,ノートのページをちぎってアノトペンでメモしても,それが元々どのノートのどのページかが分かるわけだ。 またAnotoは,アノトペーパーのドットパターンを用紙メーカーにライセンスし,メーカーは用紙に機能を付加した上で供給する予定だ。 A社という通販業者が印刷した通販申込用紙なら,欲しいものを記入するだけでその情報がA社に送られる。その機能はAnotoが提供するインターネットサービスと組み合わせることで,印刷した企業が自由に定義することができる。 アノトペーパーのマッピング情報は,Anotoが設立するサーバに蓄積されており,アノトペンはサーバーを介して判断する。インターネットでいうDNSのようなものと考えれば分かりやすい。
Anotoは,このアノトペン・アノトペーパーの最初の製品として,アノト対応システム手帳をリリースする予定だ。手帳に書いたデータは,Outlookのデータなどにシンクロナイズできる。 そのほかにも,アノトペンを使ったアイデアは尽きない。今後が期待される。 関連記事 [増田(Maskin)真樹,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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