既に1000万台の携帯Java──iアプリでもドコモ独走?国内3キャリアは,次世代サービスを進めると共に,Java端末の普及にも力を注ぐ。その背景には,まだまだ普及に時間のかかる第3世代携帯電話の前に,新しいデータ通信市場を立ち上げようという意図がある。
ドコモが圧倒的に先行──iモードと同じ状況がJavaアプリケーションでも起ころうとしている。
Java対応端末の現状は?「Java目当てで端末を買い換えるユーザーはいない」などとささやかれることもあるが,NTTドコモは“Java端末が大成功した”ことをアピールする。 503iシリーズは1年かからずに1000万を突破する勢いだ。「iモードの純増数よりも,iアプリの純増数の方が多い日もある」(ドコモiモード企画部長の夏野剛氏) Java端末普及の背景には,16和音化・カラー大画面搭載などのスペック向上のあった503iシリーズ,写メールがヒットしたJ-SH07など,“Javaを目的として買い換えたわけではない”と思われるところもある。 しかしその数と普及のスピードは驚異的だ。これまでのところ,NTTドコモが503iシリーズを10機種,FOMAを3機種投入して機種数はトップ。ドコモだけで市場は900万台以上に達している。iモード契約者の3人に1人はiアプリ対応機という計算になる。
Java端末のプラットフォームとしての魅力は,台数の多さだけではない。 iモード月額平均利用料金(ARPU:Avarage Revenue Per User)もiモード全体が2000円強なのに対して,iアプリ対応端末は倍額になっているという。ドコモは,“Javaによって通信トラフィックだけでなく有料メニューの登録個数も伸びた”としている。 実際,多数の一般iアプリをアーカイブ・ダウンロードサービスを提供している「アプリ★ゲット」では,503iユーザーだけで相当なアクセス数を記録しているという。一般のiモードユーザーよりも,活発にWebにアクセスし,最新機能を活用しようとしている503iユーザーの姿がうかがえる。 コンテンツプロバイダによっては,Javaアプリケーションを,着信メロディ,待ち受け画像に次ぐ第3の有料コンテンツとして有望視しているところもある(9月26日の記事参照)。
「テクノロジーではなくサービスが重要」──ドコモ仕様の違いを見ても分かるように(),ドコモのJava仕様には制限が多い。一般にも分かりやすいこともあって,1世代目では特に10Kバイトというアプリケーションサイズの小ささが“大きな制限”として指摘されることが多かった。 しかしドコモのiモード企画部長,夏野氏は「(アプリの)サイズが重要なのではなく,総合的なバリューが大事」と反論する。Java対応端末の数でいえば,ドコモの503iシリーズは圧倒的。携帯電話のサービスにおいては市場規模が重要なだけに,このアドバンテージは大きい。 ドコモのJavaサービス──iアプリでは,機能を制限する代わりに,当初から一般の開発者がアプリケーションを開発・公開することを可能とし,市場を大きく盛り上げた。 機能的には,J-フォンやKDDIのJavaは有利な点が多いが,端末台数で圧倒的に差をつけられている。さらに一般開発者の作成したJavaアプリケーションの数では,ドコモと比較にならない。
Java仕様の標準化はどう進むのか当初,J-フォンとKDDIのJavaは,プロファイルにMIDP,JavaVMにアプリックスのMicro JBlendをそれぞれ使うことで,“高い互換性”をウリにしていた(4月12日の記事参照)。 しかしサービスが始まってみれば,拡張プロファイル部分に大きな差があり,互換性が高いという話は最近語られない。 結局,ドコモ独自仕様のDoJaが,世界標準のMIDPを押し退けてデファクトスタンダードになってしまっている。iモードの時とよく似た状況だ(8月2日の記事参照)。 ドコモの夏野氏は「WAP2.0のようにJavaもなることを期待している」とJavaOneの講演で語っている。WAP2.0にはiモードの仕様が大きく盛り込まれ,実際にはiモードが世界標準になったともいえる。“名を捨て,実を取った”といったところだ。 ドコモはJavaにおいても,Nokiaと共通仕様の策定・提案について協業することを発表している(11月4日の記事参照)。iモード同様,Javaについても自社仕様を世界標準化しようという狙いは明らかだ。 携帯Javaという成長が見込まれる市場を狙い,スタンダード競争は始まっている。先行するのはドコモ。機能面で優位なJ-フォンとKDDIだが,台数がそろわなければ魅力的なサービスはなかなか出てこない。大きく改良されたドコモの504iが登場するまでにどこまで台数を伸ばせるのかに注目が集まる。
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