シャープに聞く――Linux搭載「Zaurus SL-5500」の開発環境は?

米シャープは2002年の第一四半期にLinux搭載の「Zaurus SL-5500」を市場に投入する。Palm,Pocket PCなどのライバルが隆盛の中,Zaurusの強みは手軽に開発環境を構築できる点だ。

【国内記事】 2001年12月6日更新

 シャープは12月3日,Linux搭載「Zaurus」の米国市場での立ち上げを発表した (12月4日の記事参照) 。シャープ広報によれば,日本での発売予定はないが,来年中にも欧州での発売を予定している。

 米国で発売される「Zaurus SL-5500」は,Lineoの組込機器向けLinuxを採用,IntelのStrongARM/206MHzを搭載し,コンパクトフラッシュTypeIIとSDの拡張スロットを備えたPDA。2002年の第一四半期に発売される予定だ。ターゲットは「コンシューマーユーザーがメインだが,ビジネスにフォーカスした販売チームも用意する予定」 (シャープ広報)

オープンな仕様でソフトの開発を推進

 「Zaurus SL-5500」は,LINUXベースとJavaベースのアプリが動作する。開発環境がオープンなため,アプリケーションの開発が行いやすいのが特徴だ。Javaアプリケーション用には,PersonalJava環境をサポートするINSIGNIAのJeodeが備えられており,PersonalJavaがサポートするAPIを用いて開発することが可能。Zaurus SL-5500固有のライブラリやAPIは「特にない」 (シャープ広報) 。

 Linux上で動作するアプリケーションのGUIには,TrolltechのQt/Embeddedを利用することができる。制限付きながらフリーで公開されているバージョンもTrolltechサイトに用意されている。ARMベースのクロスコンパイラも,SL-5000デベロッパー向けのサイトから無償でダウンロードできるため,PalmやPocket PCなどに比べると,手軽に開発環境が構築できる。

 既に,SL-5000デベロッパー向けのサイトが用意され,デベロッパー登録することで (デベロッパー登録は無料) ,開発用のSL-5000を399ドルで購入できる。また,Trolltechと共同でソフトウェアコンテストを実施することも決まっているなど,製品発売に向けたソフト開発を積極的に推進している。

日本のザウルスとの違いは

 機能面では,日本で発売されているザウルスと同等の機能が用意されるという。「PIM機能はもちろん,ビデオや音楽の再生,インターネットなど,マルチメディアマシンとしての基本的な機能を備えたデバイスになる」 (シャープ広報) 。日本のザウルスに内蔵されるソフトはほとんどが自社製のものだが,Zaurus SL-5500についてはWebブラウザにOperaを採用するなどサードパーティ製ソフトが主に使われる。

 また米シャープでは,日本で展開しているザウルスユーザー向けサイト「Sharp Space Town」のような,ソフトや周辺機器情報の最新情報を公開するサイトを展開する予定としている。

ソフトウェアの充実が普及の鍵か?

 米国のPDA市場では,PalmデバイスやPocket PCが主流となっており,この分野への新規参入は難しいと考えられている。しかしシャープは「ソフトの開発が行いやすく,キーボード付きで手のひらサイズの高機能PDA」という特徴を備えたSL-5000で,米PDA市場に打って出る。普及の鍵となるのは,どれだけ多くのソフトウェアが開発されるのか,開発者やユーザーにとってどれだけ魅力的なデバイスになり得るかといった点となるだろう。

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[後藤祥子,ITmedia]

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