チェーンメール化する“ワン切り”悪質電話実際に請求が来た人はほとんどいないのに,広まる「請求は厳しいらしい」というウワサ。悪質電話騒ぎが大きくなった背景には,チェーンメール化した「ワン切りに注意」メールの存在がある。
着信履歴に番号を残し,電話をかけ直させるという,いわゆる“ワン切り”を利用した悪質電話。騒ぎは大きくなったが,過度に心配する必要はないようだ。ZDNetの記事(11月27日の記事参照)をはじめ,国民生活センターにも「ただ電話をしただけでは,支払いの義務なし」と案内している。
「取り立てはきびしいらしい」というチェーンメールこの問題を大きくしたのは,電子メールや掲示板で,ある内容が出回ったことが挙げられる。「電話をかけるだけで10万円程度の請求がある」「取り立ては厳しいらしい」などという内容で,電話番号のリストも付いているものだ。 モバイル編集部に送られてきたそのメールを抜粋すると,以下のようになる(電話番号は消してある)。
ZDNetでも,ほぼ同じ内容のメールを複数の送信元から受け取っており,内容がチェーンメール化していることが伺える。「実際にワン切りを受けた」という人は案外少なく,「請求を受けた」という人にいたっては,ほとんどいない。騒ぎが大きくなったのは,この“親切のつもり”によって送られたメールが原因だろう。 某大企業では社長が全社員にこの手のメールを転送したというし,相当な数のメールが出回ったことは間違いない。
半分デマ? チェーンメールの内容しかしこの内容の真偽のほどは? といえば疑問点も多い。 文面を見ていくと,「取り立ては厳しいらしい」などと不安を煽り,まったくの善意で書いたとは思えないような内容もある。本当に警告を発するなら,「そう簡単に取り立てがくるわけではないが,注意してほしい」とすべきだろう。 また例として挙げられている電話番号を検証しても,確かにダイヤルQ2に似た内容が流れる番号が多いが,関係ない番号も。一部のメールに掲載されている「03-3446-0999」は国民生活センターの消費者生活相談受付番号だという。 読者からのメールによると,情報の出所として,「NTTより」「NTTグループ○○より」とされているメールもあるという。しかし,そもそもNTTが実在の電話番号が記載されたメールを流すわけはない。途中で改ざんされた可能性は高いにせよ内容が怪しく,またメールを転送した人も内容をチェックしていないことが分かる。
悪質業者のマーケティングに荷担しないように今回のワン切り騒動は,特に業者が違法なことをしているわけではないのも特徴だ。請求が実際に来るかどうかは別として,ワン切りを行って,かけ直されるのを待っているのは違法には当たらないようだ。 逆に問題になるのは,このチェーンメールのほうだろう。「おかしな着信履歴にかけなおさないように」というだけならまだしも,実際の番号リストを載せる必要があるのだろうか。誤って何も知らないユーザーの自宅や会社の電話番号が「悪質な番号」としてリストに掲載され,出回る可能性もあるのである。 このメールを受け取った人の中には,面白半分で電話をかけてみる人もいるようだ。“数打てば当たる”とばかりにばらまかれる迷惑メールでも,サイトにアクセスするユーザーはかなりの数に上る。結果的に悪質電話番号を流布させる結果となったこのチェーンメールも,ちょうど迷惑メールのような効果をもたらした。 読者からのメールでも指摘されていたが,このチェーンメールは都市伝説として有名なデマを思い出させる。「関西方面から当たり屋グループが遠征してきています。その車のナンバーは……」というメールを,何年も前に受け取ったことはないだろうか。 今回は実際の悪質業者の番号も含まれていることもあり,完全なデマとはいえない。しかし内容を確認せずにメールを転送するのはあまり誉められたことではないだろう。
関連記事 [斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
最新スペック搭載ゲームパソコン
FEED BACK |