チェーンメール化する“ワン切り”悪質電話

実際に請求が来た人はほとんどいないのに,広まる「請求は厳しいらしい」というウワサ。悪質電話騒ぎが大きくなった背景には,チェーンメール化した「ワン切りに注意」メールの存在がある。

【国内記事】 2001年12月10日更新

 着信履歴に番号を残し,電話をかけ直させるという,いわゆる“ワン切り”を利用した悪質電話。騒ぎは大きくなったが,過度に心配する必要はないようだ。ZDNetの記事(11月27日の記事参照)をはじめ,国民生活センターにも「ただ電話をしただけでは,支払いの義務なし」と案内している。

「取り立てはきびしいらしい」というチェーンメール

 この問題を大きくしたのは,電子メールや掲示板で,ある内容が出回ったことが挙げられる。「電話をかけるだけで10万円程度の請求がある」「取り立ては厳しいらしい」などという内容で,電話番号のリストも付いているものだ。

 モバイル編集部に送られてきたそのメールを抜粋すると,以下のようになる(電話番号は消してある)。

手口
番号を通知した状態でワンギリ(1回コールしてすぐ切る)してくる 。携帯電話に着信履歴が残り,その通知された番号に発信すると,ダイヤルQ2に似た応答メッセージが流れる。

請求

これだけで,携帯の通話料とは別に10万円程度の請求がくる。取り立ては厳しいらしい

番号

06-63xx-xxxx 052-xxx-xxxx 052-xxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx 03-xxxx-xxxx

(絶対にかけない)

実際に被害がでているそうです。この番号以外にもあるかもしれません。 着信履歴で心当たりのない番号は開かないよう注意願います。家族・知人などにも連絡してあげて下さい。

 ZDNetでも,ほぼ同じ内容のメールを複数の送信元から受け取っており,内容がチェーンメール化していることが伺える。「実際にワン切りを受けた」という人は案外少なく,「請求を受けた」という人にいたっては,ほとんどいない。騒ぎが大きくなったのは,この“親切のつもり”によって送られたメールが原因だろう。

 某大企業では社長が全社員にこの手のメールを転送したというし,相当な数のメールが出回ったことは間違いない。

半分デマ? チェーンメールの内容

 しかしこの内容の真偽のほどは? といえば疑問点も多い。

 文面を見ていくと,「取り立ては厳しいらしい」などと不安を煽り,まったくの善意で書いたとは思えないような内容もある。本当に警告を発するなら,「そう簡単に取り立てがくるわけではないが,注意してほしい」とすべきだろう。

 また例として挙げられている電話番号を検証しても,確かにダイヤルQ2に似た内容が流れる番号が多いが,関係ない番号も。一部のメールに掲載されている「03-3446-0999」は国民生活センターの消費者生活相談受付番号だという。

 読者からのメールによると,情報の出所として,「NTTより」「NTTグループ○○より」とされているメールもあるという。しかし,そもそもNTTが実在の電話番号が記載されたメールを流すわけはない。途中で改ざんされた可能性は高いにせよ内容が怪しく,またメールを転送した人も内容をチェックしていないことが分かる。

悪質業者のマーケティングに荷担しないように

 今回のワン切り騒動は,特に業者が違法なことをしているわけではないのも特徴だ。請求が実際に来るかどうかは別として,ワン切りを行って,かけ直されるのを待っているのは違法には当たらないようだ。

 逆に問題になるのは,このチェーンメールのほうだろう。「おかしな着信履歴にかけなおさないように」というだけならまだしも,実際の番号リストを載せる必要があるのだろうか。誤って何も知らないユーザーの自宅や会社の電話番号が「悪質な番号」としてリストに掲載され,出回る可能性もあるのである。

 このメールを受け取った人の中には,面白半分で電話をかけてみる人もいるようだ。“数打てば当たる”とばかりにばらまかれる迷惑メールでも,サイトにアクセスするユーザーはかなりの数に上る。結果的に悪質電話番号を流布させる結果となったこのチェーンメールも,ちょうど迷惑メールのような効果をもたらした。

 読者からのメールでも指摘されていたが,このチェーンメールは都市伝説として有名なデマを思い出させる。「関西方面から当たり屋グループが遠征してきています。その車のナンバーは……」というメールを,何年も前に受け取ったことはないだろうか。

 今回は実際の悪質業者の番号も含まれていることもあり,完全なデマとはいえない。しかし内容を確認せずにメールを転送するのはあまり誉められたことではないだろう。

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関連リンク
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[斎藤健二,ITmedia]

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