2001年は“携帯Java”の年だった──携帯電話,回顧と展望

2001年は携帯電話にとってどんな年だったのか? ZDNet Mobileの年間アクセスランキングから,今年1年を振り返ってみる。

【国内記事】 2001年12月31日更新

1位 今度は悪質電話──知らずにかけた場合に請求は?
着信履歴に残っていた番号に電話をかけると,Q2のアダルト番組のようなところにつながり,莫大な情報料をを請求されるというもの。現在でも,この“ワン切り”は続いているようだ

2位 SO503iのiアプリにバグ,42万台回収,交換へ
本来アクセスできないはずのスクラッチパッドと呼ばれる記憶領域に,悪意をもって作られたiアプリがアクセスできてしまうというバグにより(5月14日の記事参照),人気機種SO503iは回収となった

3位 J-フォン,SDカード対応「J-SH51」,40和音ステレオサウンド「J-K51」発表
パケット端末は,公式サイト以外のJavaアプリのダウンロードにも対応していることも見逃せない。2002年の話題が唯一ランクイン

4位 SO503i,ついに交換開始──ユーザーの声届く
SO503iはiアプリバグ以前にも,「液晶に傷が付く」「着信音量が小さい」などのクレームが相次いでいた。結局,ドコモは申し出たユーザーに改良機への交換を決める。単なる道具から,いつも持ち歩く大事なパートナーへ。携帯電話に対する意識の変化を象徴する出来事だった

5位 携帯Webユーザーに人気の携帯電話は?
折りたたみ型の携帯電話が主流になったのも2001年の特徴。「まだストレート使ってるの? 珍しいね」。巷ではそんな会話も。そんな中,折りたたみ型への長い経験を生かし,大きくシェアを伸ばしたのはNECだった

6位 やっぱり「SO503i」は速かった──ベンチマーク結果
これまでPCの世界の話だった“ベンチマーク”を携帯電話に持ち込んだのも「503iシリーズ」。10倍以上も速度が異なるという結果に,ユーザーは注目した

7位 P503i,SO503iのiアプリに問題
SO503iの回収につながったバグに関する記事。PCの世界では当たり前のように存在するバグだが,家電製品である携帯電話では致命的なものになってしまう

8位 503iの「速さ」をベンチマークテスト──意外な速度差が

9位 ついに登場「新CLIE」! 速攻&徹底レビュー

10位 ドコモ,ソニー製,三菱製の503iSを発表

11位 “503i”シリーズ5機種,分解してみました

携帯Java,「503i」大躍進

 簡単にまとめてしまえば,2001年は携帯Javaの年だった。ZDNet Mobileがスタートした1月15日以前から,NTTドコモのJava端末「503iシリーズ」は大きな注目を集めていた。そして1月18日の発表は21世紀の始まりにふさわしい,携帯電話の新たな時代を実感させるものだった。

 年間ランキングを見てみると,503iシリーズに関する記事が,2位,4位,5位,6位,7位,8位,10位と,その多くを占めている。

 その注目度にふさわしく,既にiモードの3分の1,1000万台が503iシリーズだ(12月25日の記事参照)。

 もっとも,Java搭載という機能向上に伴って,携帯電話のソフトウェアバグが大きな問題にもなった。SO503iの回収はまだ記憶に新しいし,続いて登場したFOMAもソフトウェアの欠陥に悩まされ続けている(11月26日の記事参照)。不具合部分をネットワークを使ってダウンロードできるようにするなど,コストと影響の少ないバグフィックス方法を導入することが,2002年の課題の1つだ。

 またJava搭載携帯電話の台数は増えたものの,“一般的に活用している”という声はあまり聞こえてこない。2002年はメールやWebアクセスに並ぶようなJavaの利用法を模索していく年にもなるだろう。J-フォンが2002年1月から,ドコモが2002年春に予定している第2世代のJava仕様に期待が高まる(12月4日の記事参照)。

迷惑メール・ワン切り電話が社会問題に

 “Javaの年だった”一方で,実は年間トップを獲得したのは“ワン切りの悪質電話”。携帯・PHSの契約者数は7000万を超え,もはや携帯に関して起こることは誰もの関心事になっている。

 悪質電話や迷惑メールの騒ぎで象徴的なのは,どちらも合法的な行為だったということ。ドコモが迷惑メール業者に対して送信停止を命令する仮処分を勝ち取ったことは,今後の法整備を占う上でも注目すべき出来事だった(10月30日の記事参照)。

 メールの遅延に関しては,「受信メールのブロック」などの措置では根本的な解決にはならない。かといって契約者数の天井が見えている現在では,過度な設備投資も避けたいというのがキャリアの本音だろう。携帯電話がこれだけ社会インフラ化してきたことを考えても,早急な法整備が望まれるところだ。

 年間ランキングでランクインした,唯一2002年につながる記事がJ-フォンのパケット対応端末についてのもの。「写メール」で好調のJ-フォンが送り出す新端末は,写真も撮れれば音楽も聴けるマルチメディア端末だ。

 年明け早々にも,パケットの詳細についてなどが発表され,端末も投入される見通しになっている。

そのほかの2001年のトピック

 そのほか,第3世代携帯電話「FOMA」がスタートしたことは,携帯技術の歴史から見れば2001年最大のトピックだろう。エリアの狭さからか,年間ランキングからは漏れたが2002年も目が離せないトピックであることは間違いない。

 FOMAは,使ったものに期待と失望をもたらした。クリアな音声通話と高速なデータ通信は,まさに驚き。映像も送受信可能なその速度は,さまざまな応用が期待される。

 しかし現在のiモードを“単に高速化しただけ”というだけでは,FOMAの高速性を生かせないのも分かってきた。また“テレビ電話”も,もう一工夫ないことには簡単には根付かなそうだ。

 同様のことは,KDDIの次世代サービス・次世代インフラにもいえる。“GPSケータイ”は魅力的な技術を詰め込んだものだが,その特性を十分に活かしたサービスを提供できているかというと,もう一歩の感が強い。

 携帯電話端末の出荷台数は,このところずっと減少の一途。携帯電話がかなりの普及率に達したこともあり,2002年は買い換え需要が中心となるだろう。

 2001年の買い換えの理由を聞いてみると,

  • 16和音になったこと
  • 大画面カラー液晶になったこと
  • 折りたたみ型になったこと
  • 写メールができること

 この4つが中心だったようだ。特に「写メール」は,目立って買い換えを喚起する力を持っていた。2002年は何が写メールのように需要をドライブするのだろうか。

*次ページ:2001年週間ランキング集

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[斎藤健二,ITmedia]

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