2002年,携帯電話は機能の“取捨選択”が勝負になる──ドコモ,夏野氏

次から次へと新機能が搭載されてきた携帯電話だが,2002年はそれも曲がり角を迎えそうだ。今後は過度な付加機能が価格としてユーザーに跳ね返ってくる可能性があるからだ。ドコモの夏野部長は,これからは機能の“取捨選択”がポイントになると予測する。

【国内記事】 2002年1月11日更新

 「3年前,iモードの初期の頃は,“いかに早くサービスを出すか”の競争だった。今年からは,“何を出して,何を出さないか”の選択が勝負になる」

 NTTドコモのiモード企画部長である夏野剛氏は,1月10日に開催されたEC研究会フォーラムでこう語った。


NTTドコモのiモード事業本部iモード企画部長である夏野剛氏

今年から携帯の競争が変わる

 夏野氏によれば,次から次へと携帯に新機能を搭載する競争はそろそろ終わりを告げ,2002年からはどのような機能を搭載するかの選択が重要になると言う。「出したもので“ちゃんと使われているのは何か”を判断することが必要になる」(夏野氏)。

 同氏が例として挙げたのが,Bluetoothだ。Bluetoothを内蔵した携帯電話は2001年にすでに登場しているが,その機能はほとんど活用されていない。それでもこれまでだったら,今後の普及戦略や他社製品との競合上,搭載しておけばいい,という考え方もできた。

 しかし,「(2002年からは端末販促用の)補助金も厳しくなる」(夏野氏)。

 人気の高い携帯内蔵のカメラも,この“取捨選択”の対象外ではない。現在は補助金があるために1万円台という低価格で販売されているが,本来の価格は何倍もするからだ(2001年7月の記事参照)。補助金が少なくなれば,端末の製造コストがダイレクトに販売価格に跳ね返ってくる。そうなっても,今の人気を維持できるかどうか。

 「(2002年は)商品の本当の価値をユーザーが評価するようになる」(夏野氏)

 どんな機能を搭載し,どんな機能を省くのか――今後はそれがキャリアだけでなく,ユーザーにとっても重要になってくるだろう。

FOMAは2004年から“一気に行く”

 また,2001年10月にサービスを開始したFOMAについても触れた。夏野氏の持論は「技術よりもコンテンツ。何ができるか」だ。

 「携帯は,どんなにスピードが速くなっても,(それだけでは)使い道がない。何ができるのかが重要」(夏野氏)。最近話題の固定回線のブロードバンドについても「ブロードバンドがすごいのではなく,その上のコンテンツがすごいのだ」と説明する。

 この考えに則ってサービスされているのが,FOMA向け動画クリッピングサービス「iモーション」だ。夏野氏が「(コンテンツプロバイダには)無理に動画にしないでくれと言っている」と言うとおり,iモーションは“動画でなければ伝えられない内容”を,テキスト情報の補足として利用するにとどまっている。

 FOMAの今後の展開に関しては,「(携帯にとって)一番大事なのはカバーエリアと電池の持ちだ」と語り,一気に普及するものではないという認識を示した。

 実際ドコモのロードマップでは,サービス開始から3年でFOMAの契約数は600万契約。iモードが3年間で3000万契約を獲得したのに対し,“ドコモはすごく小さな目標しか持っていない”と投資家などに言われるという。しかし,人口カバー率97%を達成する2004年3月からは「一気に(普及に)行く」と語り,3年後にはちょうどアナログからデジタルに切り替わったように,FOMAが普及すると見ている。


ドコモ公開資料より。FOMAのエリア展開と予想契約者数のロードマップ

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[斎藤健二,ITmedia]

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