ケータイでも「好きやねん」!? 携帯端末向けATOKが目指すもの

Palmデバイス,ケータイ電話,Windows CEマシン……。携帯端末に進出するATOKはどのような進化を遂げようとしているのだろうか。ジャストシステムに聞いた。

【国内記事】 2002年2月14日更新

 ATOKはもはやPCオンリーの日本語変換ソフトではない。携帯電話,Palmデバイス,Windows CEマシンなど,さまざまな携帯端末向けに最適化されたATOKが登場し,日本語変換をサポートしている。

 今後,携帯端末向けにATOKはどのような進化を遂げようとしているのか。ジャストシステムの開発陣に聞いた。

携帯電話向けATOKはどうなる

 現在,ATOKを日本語変換ソフトとして採用しているのは,NTTドコモのDシリーズ(2001年11月の記事参照),auの日立製作所製端末(2001年11月の記事参照),J-フォンの三菱電機製端末(2001年6月の記事参照)。

 携帯電話向けATOKの開発にあたっては「少ないキータッチでいかに効率よく入力できる環境を作れるか」「いかに高速な文字変換を実現するか」を念頭に開発を進めているという。複文節変換で強みを発揮するのはPCでの実績に基づくものといえるだろう。あとは辞書の容量。「入れたい言葉はたくさんあるが,限られたメモリの中でぎりぎりの選択を迫られる。まさに一文字の勝負」(ジャストシステムの竹内基氏)。

 2.5世代,第3世代の携帯電話はメモリ容量も増える。辞書の充実を図れそうだが,そう単純な問題でもないようだ。

 「次世代携帯電話ではメモリが増え,パフォーマンスも上がるが,それに伴うさまざまなサービスの強化も図られる。現状よりは辞書の容量を増やせるだろうが,キャリアやメーカーがどのような機能を軸とした端末を開発するのかで,辞書に割り当てられる容量が決まってくる。微妙なところだ」(竹内氏)

 とはいえ,ジャストシステムも,次世代携帯に期待するところは大きい。「携帯は進化し,PCに近づきつつある。パフォーマンスが向上すれば変換速度も上がり,ストレスのない日本語入力が可能になる。ネットワーク機能を活かした辞書のダウンロードなども考えられるだろう」(竹内氏)

 また,携帯電話の個性化を図るための秘策も考えているようだ。「変換効率や速度も大事だが,今後の携帯電話には,それぞれの端末にどのような個性を持たせるかが重要になってくるのではないか」(竹内氏)

 ジャストシステムでは,方言によるコミュニケーションを活性化するためのWebサイト「全国方言WEB ほべりぐ」を2月6日からオープンしている。ここに集まった方言は「ATOK15 for Windows」の辞書にフィードバックされる予定。将来的には集めた方言を携帯電話向け辞書として利用することも考えているという。

 「携帯電話の販売エリアは地域ごとに分かれている。それぞれの地域に密着した辞書を各地域で発売される携帯端末に組み込めたら面白いのではないか。大阪で発売される携帯は関西弁変換,福岡で発売される携帯は博多弁変換というように,いつも使っている言葉を変換できればコミュニケーションをさらに楽しいものにできそうだ」(竹内氏)。「好きやねん」が一発変換できる携帯電話,確かに面白そうだ。

Pocket PC用ATOK――開発中ながら発売は未定

 Windows CEやPalmデバイス向けATOKは既にパッケージとして発売されている。Windows CE向けATOKの最も新しいバージョンは,韓国製PDA「PC-EPhone」に搭載されているもので,手書き認識が行えるなどの拡張が施されている。

 Pocket PC向けATOKはまだパッケージとして発売されていないが,ジャストシステムでは,時期は未定としながらも,開発は進んでいると話す。基本的な機能は3月8日に発売される「ATOK Pocket for Palm OS」と同等の製品となるようだ。

 Pocket PCは,StrongARMを搭載しており,Palmデバイスよりパフォーマンスも高く,メモリ容量も多い。その利点を活かしたどんな付加機能を搭載するのか。竹内氏によれば「手書き認識の変換精度を高めることができ,辞書もPalmよりは大きいサイズのものを収録できるだろう。Pocket PCはネットワークにも強いので,Windows版ATOKに搭載されているようなネットワーク機能を実装することも考えられる」という答えであった。

エアボード,カーナビ……日本語入力のあるところにはATOKを

 ジャストシステムでは,PDAや携帯電話だけでなく,さらなるマルチプラットフォーム展開を考えている。既にATOKが搭載されているソニーのエアボードのような家電にも進出していくという。「これからは,カーナビ,デジタルテレビ,オーディオなど家電系への進出を考えている。日本語入力の必要とされるものにはATOKを,というのが目標」(竹内氏)

 マルチプラットフォーム展開を進めていくジャストシステムのATOK。これまで培った日本語入力のノウハウにユニークな味付けをして,勢力拡大を目指している。

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[森山雨音,ITmedia]

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